[第9回]

夢へのハシゴを掛け直す

(2016年12月30日 掲載)
白瀬中尉終焉の地に近い愛知県西尾市(旧吉良町)にある墓の前で手を合わせる筆者。生誕地である秋田県にかほ市金浦にも分骨されている

 “現時点”では実現不可能と言わざるを得なかった。南極を諦めるか、それとも諦めないか? この数カ月間、ずっとそれを考えていた。悩みすぎてストレスで血便が出るほどだった。僕はストレスが極度に溜まると血便が出る体質である。便器の中が血で真っ赤になるときの鮮やかさは何度見ても慣れない。

 白瀬中尉の背中を追って南極を目指してきた。4年前に白瀬ルートでの南極点到達に向けて5カ年計画を立て、3度の北極遠征に赴いた。2018年末に集大成として白瀬中尉の最終到達地点である大和雪原を踏んで南極点へ到達する。全てはそのためだった。今になってその夢の大きさに打ちひしがれている。