[第8回]

家なし金なしで帰国

(2016年11月25日 掲載)
イルリサット空港の外で一晩を過ごす:阿部雅龍撮影

 6月4日羽田空港に帰国した。

 冒険遠征から帰国する、と言えば聞こえは良いかもしれないが、現実は住む家もなく貯金残高もほぼゼロに近かった。出国前は人力車の他に運送業をして台車を押して荷物を配って回り、深夜に東京ドームのライブ会場で設置撤収までした。全ては冒険資金を調達するためだ。世界中を冒険して回るというと華やかに見えるかもしれないが、その裏側は実に地味な努力の積み重ねである。33歳にもなって定職にも就かずに深夜のスタジアムでイスを両手に抱えて走り汗を流す姿は地味だったかもしれない。しかしながら流す汗が必ず目標の実現に繋がるものだと僕は信じて疑わなかった。