[第3回]

北極海を泳ぐ

(2016年7月15日 掲載)
筆者が海に落ちた場所の近く。撮影の1時間後に落ちた(グリーンランド北西部):阿部雅龍撮影

 薄氷の張った北極海の上を歩く。足元の氷は軟らかく今にも崩れてしまいそうである。

 安定した氷まであと10m。そこまで行けば安全である。緊張で心拍数が高くなっている。ハッハッと呼吸が異常に短い。一歩を踏み出す。瞬間、底なし沼に突っ込んだように片足がズブズブと沈んだかと思うと、スキーを履いたまま垂直の姿勢で凍てつく海に飲み込まれた。