【東京ウオッチ】時を刻むモノと街、未来へ向かう―渋谷パルコでビンテージ展 いまのTokyoをつかむイベント情報(30日~10月8日)

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渋谷パルコのビンテージアイテム展覧会の展示品が掲載されている書籍(提供写真)
渋谷パルコのビンテージアイテム展覧会の展示品が掲載されている書籍(提供写真)

 ◎「渋谷半世紀」 Shibuyaカルチャー最前線

 【30日(土)】

 ▽「Vintage Collectables Museum produced by VCM」(~10月9日、渋谷区・渋谷パルコ)

 えりすぐりのビンテージアイテムをキュレーションした展覧会が渋谷パルコで開かれる。国内最大級のビンテージ総合ECモールのVCM(Vintage Collection Mall)が監修した書籍の刊行を記念し企画された。

 400点以上のアイテムを掲載したバイブルのような書籍から選んだ実物など、約70点の作品を紹介する。会場は、デニムやスエットをはじめとした人気ジャンル、1990~2000年代のマルタン・マルジェラやコム・デ・ギャルソンなどのブランドのアーカイブからなる九つのエリアで構成。上級マニアでもめったに合えない貴重なアイテム群が鑑賞できる。

 大量生産と廃棄の時代、VCMはビンテージを“究極のサステナブル”とし、価値あるものを残すことを目的としている。企画担当者の森本凌介さんは「マニアでなくても純粋に服を楽しめる。幅広さと変化、時代の空気を反映してきた渋谷の街の歴史を表すような企画だと思う」と話した。

 ▽「イメージフォーラム・フェスティバル2023」(~10月8日、渋谷区・渋谷スクランブルスクエア「渋谷スカイ」など)

 映像アートの祭典が渋谷で開催される。37回目を迎える今年は「シアター・イメージフォーラム」など四つの会場で、優れた映像作品やコンペティション作品を紹介、さまざまなイベントが行われる。戦争や紛争が起こる世界情勢の中で映像を撮り続けるミャンマー、ロシアなどの作家にフォーカスした特集上映も。

 注目は「渋谷スカイ」を会場に、上空229メートルで音楽映画を楽しむ屋外イベント「ROOFTOP “LIVE” THEATER」だ。デビッド・ボウイさんの伝説的ライブ「ジギー・スターダスト」、ラテンやレゲエで民謡をアレンジする日本のバンド「民謡クルセイダーズ」の密着作品などを上映。同バンドのミニライブも5日に行う。

 ディレクターの門脇健路さんは渋谷に映画館が少なくなった現状に触れつつ、「文化拠点としての渋谷から優れた映像を届けたい。街全体を見渡し、多彩な音楽映画を開放感と共に鑑賞してもらえれば」と話した。

 ▽「企画展 ハチ公 生誕100年記念 展」(~10月9日、渋谷区・白根記念渋谷区郷土博物館・文学館)

 銅像が有名な渋谷のシンボル「忠犬ハチ公」の誕生から今年で100年。それを記念した展示が渋谷で行われている。

 ハチ公は生後2カ月の頃、東京帝大教授の上野英三郎に引き取られ渋谷に暮らした。英三郎の死後も、渋谷駅前で亡き飼い主の帰りを待つ姿が目撃されていた。本展では、ハチ公のエピソードを可能な限り正確に伝えている。初公開写真を紹介し、1958年制作の映画「ハチ公物語」も期間中に上映。

 学芸員の松井圭太さんは「ハチ公にとって父のようだった英三郎。その人にひたすら会いたいという純粋な気持ちが、時代を超えて人々を引きつけるのでは」と話した。



 ○そのほかのお薦めイベント

 ▽「TIME UNLIMITED―カルティエ ウォッチ 時を超える」(~10月1日、渋谷区神宮前6―35―6、事前予約制)

 高級ブランド「カルティエ」の時計に焦点を当てた国際巡回展が、香港、北京、ソウルに続き、原宿の会場で開催されている。

 時計製作を巡る四つの視点をセクションごとに紹介。「パイオニア精神」のセクションでは、同社の実用的な腕時計づくりの歴史や3代目のルイ・カルティエの功績を映像で学べる。

 1850年代から2000年代に製作された「カルティエ コレクション」から選ばれた50本の展示は圧巻。時を経ても古びないデザインやフォルムの力を知ることができる。「タンク」など四つの代表的な腕時計のデザインの詳細を、360度の角度で目にできる展示も特別に展開。

 会場には、あらゆる世代の男女が訪れている。多様な人々を引きつける伝統と革新の精神、そして「時を刻むことの大切さ」を教えてくれる貴重なイベントだ。

 ▽「FAS 伊勢丹新宿店 POPUP」(~10月3日、新宿区)

 京都府京丹後市が生産する“黒米”を発酵させ開発した美容ブランド「FAS」のポップアップショップが、新宿で開かれている。

 海外製品があふれる今日の市場。日本の歴史と文化を大切にしたいとの思いから、発酵分野第一線の研究者である伊達朗さんとFASが、約3年にわたり試行錯誤を重ねて製品化を成功させた。

 黒米は白米の登場でいったんは需要が衰えた。近年は健康食品として注目を集め、京丹後市も生産を復興させている。

 専務取締役の向山雄登さんは「日本人が忘れている古代からの文化を黒米と発酵の技術で進化させた。京都の改革力を、製品を通して感じてもらいたい」と話した。

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