【朝ドラ立身出世物語#6完】向井理「ゲゲゲの女房」 味のある大人の役者に 

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連続ドラマ「パリピ孔明」の向井理<(C)フジテレビ>
連続ドラマ「パリピ孔明」の向井理<(C)フジテレビ>

 朝ドラで脇役を務め、現在主役級として活躍する俳優の軌跡や魅力を、放送作家の山田美保子さんがつづります(6回続きの最終回)。

 山田さんのさらに詳しいトーク音声をYouTubeやポッドキャストで聴けます。記事末尾をご覧ください。

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 「とと姉ちゃん」の坂口健太郎、「なつぞら」の中川大志、「ちむどんどん」の宮沢氷魚、そして「舞いあがれ!」の赤楚衛二と、ヒロインの相手役の俳優が続々ブレークしていくのも、2010年以降のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)のパターンである。

 大学卒業後にデビューし、10年上期の「ゲゲゲの女房」で松下奈緒の夫役を演じ、28歳で大ブレークしたのが向井理だ。

 実はNHKとの縁は、観客を入れて収録したシチュエーションコメディー「ママさんバレーでつかまえて」など「ゲゲゲ―」より前から。「ふたつのスピカ」と民放ドラマを併せて9クール連続出演し「若き内藤剛志」とも言われていた。

 「塩顔俳優」の元祖であり、理系で趣味は料理。加えて部活でサッカーに熱中していたという、女性にモテる要素を兼ね備えていたものだが、情報番組や女性誌などで「イケメン」というくくりで特集されると塩対応に。

 そんな真面目な彼は「ゲゲゲ―」撮影時、水木しげるさんからもらったGペンで絵を描く練習をし続け、戦時中に左腕を失う役だったことから私生活でも左手を使わぬように徹底。当時は左腕が右腕の半分ほどの太さになっていたとも聞く。

 同年代の俳優に比べてデビューもブレークも遅かったイケメンが一皮も二皮もむけたのは「バイプレイヤーズ 名脇役の森の100日間」(テレビ東京系)で「向井という割に向かい風に弱い」“本人役”を演じた時ではないか。

 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は昨夏から5月まで174公演に出演。10月期は「パリピ孔明」(フジテレビ系)に主演する。朝ドラから13年、向井は実に味のある大人の役者になった。(放送作家)

 やまだ・みほこ 1957年東京都生まれ。バラエティー番組「踊る!さんま御殿!!」などの構成を手がける。コラムニストなどとしても活躍。



 ※当記事と連動した、さらに詳しい山田さんのトークを、ポッドキャスト番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(うるりこ)で公開しています。YouTubeの他、Spotify、Apple、Amazon、Googleの各ポッドキャストで聴けます。

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