【ぷらっとTOKYO】「上野」 文化の森に流れる音色

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旧東京音楽学校奏楽堂=東京都台東区
旧東京音楽学校奏楽堂=東京都台東区

 東京・上野公園には緑豊かな中に動物園や美術館の他、音楽関連施設が点在する。世界的な指揮者や楽団の公演だけではなく普段着で音楽を楽しめる空間もある。(共同通信=中井陽)

 JR上野駅公園口を出ると東京文化会館が目に入る。オーケストラやオペラ、バレエなどの公演が行われる「音楽の殿堂」は建築家前川国男による設計だ。ロビーには、星空のように小さな照明をちりばめ、大樹をイメージした柱が立つ。

 4階の音楽資料室は映像や楽譜など約13万点の貴重な資料を所蔵し中学生以上なら誰でも利用できる。カフェ・ヒビキのテラスからは前川の師、巨匠ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館が見えた。

 北へ向かい大噴水を抜けると、国の重要文化財旧東京音楽学校奏楽堂がある。音楽学校(現在の東京芸術大音楽学部)の校舎として明治期に建てられ移築・復元。一般公開している。

 屋根を見上げると和楽器の笙と西洋のハープをかたどった装飾がある。2階にある音楽ホールの天井は音響効果を狙ったかまぼこ形。防音のため壁の中にわら束を詰めている。パイプオルガンは徳川頼貞が英国から輸入し1928年に寄贈した。

 訪れた日は「芸大生による木曜コンサート」が開かれ大入りだった。若いピアニストがブラームスやベートーベンの名曲を奏でると、木造ホールに柔らかな音色が広がった。チケット代が500円とは破格に感じた。

 このホールで、音楽家・滝廉太郎がピアノを弾き、日本人による初のオペラ公演で三浦環がデビューを飾った。学芸員の橋本薫さんは「さまざまな演奏家の音が響いたホールで気軽に音楽を楽しんでほしい」と話す。

 公園の南には不忍池が広がる。ほとりにある上野公園野外ステージは、バンドのライブ会場として親しまれている。建物外では滝の心地よい水音が響いていた。

 【メモ】旧東京音楽学校奏楽堂は日、火、水曜に公開。公演予定は公式サイトに掲載している。

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