【ぷらっとTOKYO】「船堀」 70年競りが続く金魚の街

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船堀駅舎のモザイクアート=東京都江戸川区
船堀駅舎のモザイクアート=東京都江戸川区

 「金魚のふるさと」として町おこしをする東京都江戸川区。明治時代に金魚の養殖が始まり、全国有数の産地として栄えた。都営新宿線船堀駅周辺で、繁栄の名残に触れた。(共同通信=藤原朋子)

 金魚のモザイクアートが壁面に施された船堀駅舎を眺め、金魚の街に来たことを実感した。歩いて東京都淡水魚養殖漁業協同組合へ。70年以上、競りが行われてきた。一般公開は行われていないが取材させてもらった。

 金魚が泳ぐ木箱「活舟」が競り場に運ばれる。担当者が少し水を抜くと、各地から訪れた仲買業者がのぞき込んで状態を確認。単価を表す「せんちょう(15)」「かわ(3)」と符丁を威勢良く交わしながら、競り落としていた。

 組合長の堀口英明さんは、近くで堀口養魚場を営む。明治時代からの家業を継ぐ5代目だ。毎週日曜に自慢の「和金」など約15種類を販売している。昭和30年代の近隣の写真を見せて「金魚の養魚池とハス田ばかりでしたよ」と振り返る。宅地が広がる現在の姿との違いに驚かされた。

 15分ほど歩いて佐々木養魚場を訪ねた。江戸後期に台東区で創業し、後に江戸川区に移転。今は養魚池を茨城県常総市に移し、先代が生み出したという品種「柳出目金」などを生産している。東京では、この他にも金魚やメダカなどを仕入れ、大小約100の水槽で展示、販売する。金魚飼育にはまる男性客から「ここのは生きがいいよ」と教えられた。

 近年、夏には金魚がモチーフのイベントが催されている。新川さくら館では「金魚あく和りうむ」を開催。多様な金魚が展示されていた中で、色とりどりの照明や和傘を背景に優美に泳ぐタイガーオランダシシガシラに目を奪われた。新川沿いでは、和紙製の金魚ちょうちん約600個が風に吹かれて宙を泳いでいた。

 【メモ】新川は江戸時代に開削された運河で、行徳(千葉県市川市)の塩を、江戸に輸送するルートだった。

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