【ぷらっとTOKYO】「経堂」 憩いの屋上庭園と緑道
小田急小田原線経堂駅(東京都世田谷区)の北口を出ると、街に向かって開かれた大階段が目に入る。商業施設「経堂コルティ」のシンボル的な空間で、幅は約10メートル。巨大なひな壇のようだ。見上げる先には4階の屋上庭園が広がる。2階の踊り場に描かれた動物たちのイラストがかわいらしい。(共同通信=松本泰樹)
階段脇のエスカレーターで屋上庭園まで上ってみた。花と木に囲まれた憩いの場所は見晴らしも良い。遠くにかすむ高層ビル群を背景に、高架線を走る電車が見える。天気の良い日には富士山も眺められるそうだ。
大階段を下りて高架下をくぐり、南口の「農大通り」へ。東京農業大へと続くこの道は、活気のある商店が並び、学生や住民がひっきりなしに行き来する。ぶらぶら歩きを楽しめば、経堂に住む4世代家族という設定のモニュメント「ハートフル・ファミリー」の像と所々で目が合う。
地名の由来とされるのが、駅南口のすぐそばにある「経堂山福昌寺」だ。寺につながる人物が持っていた書物を経本だと思った近所の人々が、敷地内のお堂を「経堂」と呼んだとか、経塚を祭ったとか、幾つかの説が残る。
この街では、古い石碑にしばしば出合う。農大通りの四つ辻では民間習俗「庚申待」の講中が建てた碑。通りから少し離れた線路沿いには、馬頭観音のような像を浮き彫りにした道標が立つ。時代は不明だが、願主は「芝伊皿子」(現東京都港区)の商人らしい。
駅から南へ徒歩で5分ほどの経堂大橋公園で一休み。東西に延びる烏山川緑道の中にある。「世田谷名木百選」に選ばれたメタセコイアが1本、空に向かって高くそびえ立つ姿は見応えがある。
【メモ】経堂駅北側の北沢川緑道も心地よい散歩道。世田谷区三宿で烏山川緑道と合流し、目黒川緑道になる。