社説:新「道の駅岩城」 ハピネッツ、集客の核に
由利本荘市の「道の駅岩城」が4月下旬、リニューアルオープンした。新たな指定管理者となったのは、バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の秋田ノーザンハピネッツ社だ。
道の駅岩城は、地元自治体が設置して民間に管理委託する「公設民営」。指定管理者の課題は集客力を高め、自治体負担を減らすことだ。ハピネッツ人気を集客の核にするなど従来の道の駅とはひと味異なる創意工夫で、にぎわいをつくり出すことが期待される。
道の駅岩城は昨年度まで由利本荘市出資の第三セクターが指定管理者だった。コロナ禍などで経営難が深刻化する中、昨年10月の市指定管理者選定委員会には、この三セクやハピネッツ社など計3社が応募。将来性のある経営提案が評価されて、ハピネッツ社が選定された。
三セクは主な収入源である道の駅の指定管理料を失ったため解散を余儀なくされた。ハピネッツ社は道の駅運営だけでなく、岩城地域の活性化に大きな責任を負ったと言えよう。
ハピネッツ社が異業種に参入するのには事情がある。2026年開幕予定の「新B1」の参入審査を通過するためには、年間売上高12億円の達成が課題。バスケ事業にとどまらず経営の多角化を進める必要がある。
21年にコッペパン専門店「ハチトニ製パン」をオープン。22年にはクラフトビール「秋田あくらビール」を製造するあくら(秋田市)から事業譲渡を受けた。道の駅を軌道に乗せ、バスケ事業の発展につなげたい。
道の駅岩城の新たなコンセプトは「アキタウミヨコ」。海沿いの美しい景観を表す「海の横」と、地域のにぎわいや観光の拠点となる「横丁」を掛けた言葉だ。レストラン、直売所、売店をリニューアル。併設のキャンプ場や温泉も生かし、集客力を強化したい。
レストランは県産魚や秋田由利牛などを使ったメニューを提供。直売所には朝に採れたばかりの由利本荘市特産アスパラガスをはじめ新鮮な農産物が並ぶ。売店は生鮮食品など豊富な品ぞろえが特徴。地域には大型スーパーがないことから、住民のニーズに応えたという。
もちろん、ハピネッツグッズのコーナーも設けた。今後も、利用者のニーズを探りながら対応していくことが必要だろう。
指定管理期間は本年度から5年間。19年度は売上高約2億円、来場者数約39万人だったが、コロナ禍の影響で21年度はそれぞれ約1億4千万円、約27万人に落ち込んだ。本年度は売上高2億2千万円、来場者数35万人を目指す。
フォロワー数の多いハピネッツのツイッターを通したPRや、ファンイベントなども計画。多くの県民がファンとなっているハピネッツは集客の武器となるはずだ。岩城地域の活性化に貢献し、新B1入りに向けた売り上げ増を達成してほしい。