【東京ウオッチ】巨匠マティス、圧巻の色彩―上野で20年ぶりの大回顧展 いまのTokyoをつかむイベント情報(20日~28日)


◎今週の一推しイベント
【20日(土)】
▽「マティス展」(~8月20日、台東区・東京都美術館、日時指定予約制)
20世紀美術の巨匠アンリ・マティスの約20年ぶりとなる大規模回顧展が、上野で開かれている。世界最大規模のマティスコレクションを誇るパリのポンピドーセンターの全面協力を得て約150点を展示。絵画、彫刻、ドローイング、版画や切り紙絵、晩年の傑作などを8章で構成している。
マティスは純粋な色彩による絵画様式「フォービズム(野獣派)」を生み、モダン・アートの誕生に大きな役割を果たした。フォービズムに進むきっかけともなった、日本初公開の「豪奢、静寂、逸楽」は注目だ。ひと夏の南フランスでの滞在に影響を受け、新印象主義の点描技法を用いた初期の傑作となる。「マグノリアのある静物」「赤の大きな室内」などの名作も鑑賞できる。
ポンピドーセンター学芸員のオレリー・ヴェルディエさんは「マティスが生涯で挑戦した多彩な技法を紹介した。東洋美術との関係から東京展は特別だ」と説明した。
○そのほかのお薦めイベント
【20日(土)】
▽「『リサ・ラーソン展』 知られざる創造の世界―クラシックな名作とともに」(~6月5日、中央区・松屋銀座)
スウェーデンを代表する陶芸家、リサ・ラーソンさんの展覧会が銀座で開催されている。北欧の自然の中で創作された、ネコやライオンなどの動物や子どもをモチーフにした温かみのある作品は世界中にファンを持つ。
今回は約250点を展示。かわいらしい動物や人物像の陶芸作品のほか、日本では紹介されなかった一点物、ガラスやブロンズなどの作品、スケッチ画などを公開。ラーソンさんの創造の全貌に迫っている。
会場を訪れたスウェーデン出身の俳優で庭師の村雨辰剛さんは「生きているような雰囲気を持つリサさんの動物作品に触れてほしい」とコメントした。
▽「展覧会『谷川俊太郎 絵本★百貨展』」(~7月9日、立川市・PLAY! MUSEUM〈プレイミュージアム〉)
日本を代表する詩人・谷川俊太郎さんが文章を手がけた絵本の展覧会が立川で開催されている。1952年に「二十億光年の孤独」でデビュー。詩や翻訳や脚本のほか60年代からは200冊におよぶ絵本を作ってきた。
会場を「百貨店」のように見立て、約20冊の絵本をイラストや絵画だけでなく、写真作品やアニメーション、朗読も取り入れて展示。世界のありよう、生きることの面白さや大変さ、死や戦争までをテーマに、名作「もこ もこもこ」「へいわとせんそう」などの世界観を表現している。巨大な絵巻や描き下ろしインスタレーションも出現。子どもも大人も楽しめる演出となっている。
プロデューサーの草刈大介さんは「谷川さんの絵と言葉が響き合う世界で、その表現の豊かさ、バラエティーを楽しむことができる」と話した。
【26日(金)】
▽「ラ・グランダム 2015 ガーデンラウンジ」(~28日、千代田区・東京ミッドタウン日比谷 DRAWING HOUSE OF HIBIYA、事前予約制)
フランスのシャンパンブランド「ヴーヴ・クリコ」が、仏シャンパーニュ地方の「ラ・グランダム(偉大なる女性)」と呼ばれたマダム・クリコへのオマージュを込めたシャンパーニュ「ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム 2015」の発売を記念したイベントを日比谷で行う。
ボトルラベルなどを手がけたイタリア人現代アーティストのパオラ・パロネットさんによる色彩あふれる会場で、最高峰の味を楽しめる。今回は、和歌山県岩出市の「ヴィラ アイーダ」のオーナーシェフである小林寛司さんが、自家菜園で育てた質の高い野菜やハーブの食体験も提供する。
小林さんは「野菜の可能性を無限大に引き出した料理を提供したい。繊細で華やかなシャンパーニュとの組み合わせを楽しんでほしい」とコメントした。
【27日(土)】
▽「クレヨンハウス『原発とエネルギーを学ぶ朝の教室』上遠恵子さん講演会 レイチェル・カーソンの『沈黙の春』『センス・オブ・ワンダー』を再読」(10時、武蔵野市・クレヨンハウス東京店、事前予約制、オンライン開催、「レイチェル・カーソン パネル展」は12日~6月2日)
米国の海洋生物学者だったレイチェル・カーソンの著作や思想を伝えるエッセイストで翻訳家の上遠恵子さんの講演会が、吉祥寺で開かれる。
約60年前にカーソンが出版した「沈黙の春」。化学物質の危険性に警鐘を鳴らした彼女の訴えは、プラスチック汚染や基地由来の疑いがある有機フッ素化合物による汚染などが問題になる中、ますます再読されている。カーソンが唱えた「自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性=センス・オブ・ワンダー」の必要性を訴える上遠さん。彼女と共に環境破壊問題や持続可能な社会を考えることができる。
著作と生涯をたどるパネル展も開催している。