ローカルメディア列島リレー(41)木村大吾(金剛住機株式会社)

連載:ハラカラ 第43号 Mar 2023

全国のローカルメディアの旗手が、どんなふうに、独自の発信の場を作っているのかを綴るコーナーです。紙もウェブも、ラジオもアートプロジェクトも、料理教室だって「ローカルメディア」に? 日々の取り組み、アイデアと奮闘の記録です。

まちのリノベーション


 私が生まれ育ち、30歳でUターンして暮らす山口県下関市は他地域と同様、空き家が増えています。接道条件を満たさず建て替え不可な斜地の空き家や、所有者不明、管理不全な空き家、借り主がいないまま放置されている空き家も多いです。負の遺産となりつつある空き家を、まちを元気にするきっかけとすべく、ライスワークである建築リノベーションのスキルを活かして、空き家の利活用を進めるプロジェクトをライフワークとしています。

 Uターンしての10年間は、事業者からの依頼によって、空き家のリノベーションの設計施工を、店舗を仕事として作っていましたが、それだけでは物足りず、自分でもリスクを負って事業を生んでいきたいと、各地の友人とリノベ事業を始めています。

「Sig.co」下関市小串

 山陰の漁村では当地の魚屋を営む友人と会社を立ち上げ、賃借した空き家をリノベーションし、「Sig co.」というカフェにサブリースしてもらい、初期投資を回収した後は家賃を、他の空き家の利活用プロジェクトに再投資する。長門湯本温泉では超老朽化した旅館の社員寮を買い取り、リノベーションして飲食店に賃貸する「だいご長屋」というテナント運営を始めました。

「だいご長屋」長門湯本温泉

 小串も長門湯本温泉も、まちのアイコンともなる新しい店舗ができることで、メディアに取り上げられたり、そこを訪れる人が増えたり、そのまちを気に入ってくれる人が移住してくれ、新たなチャレンジも生まれています。小串では数十年ぶりに赤ちゃんが生まれました。これらはある兆しのような出来事ですが、これらが続いていくよう地元として努力をしていかねばと励んでいます。

きむら・だいご
下関市生まれ。山口大学で建築を学び、(株)現代計画研究所に入社し、広島・東京の設計事務所で働く。2007年、下関にUターンして家業の金剛住機へ。「門門門(下関、長門、門司)」エリアをリノベしながら暮らしています。

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