
秋田県の公立高校入試が、今年から新制度に移行します。これまで1月下旬に行われていた「前期選抜」を「特色選抜」に改め、試験日程を3月上旬の一般選抜と一本化。新制度スタートに合わせ、募集枠を変えた学校学科も多くあります。新たな入試の形は受験動向にどのような変化をもたらすのか。近年の志願倍率などのデータを踏まえて探りました。(デジタル編集部・斉藤賢太郎)
近年の傾向を把握するために、秋田県教育庁がウェブサイトで公開している「公立高等学校入学者選抜志願・合格状況等」のデータを使いました。これまでの前期選抜、一般選抜、2次募集の志願・合格状況が詳しくまとめられています。
ただし、ウェブサイトでの公開は2022,21年入試分のみ。加えてデータ形式は活用しにくいPDFファイルです。このため、追加で18-20年分を県教育庁から提供してもらい、計5年のPDFを独自にCSVファイルに変換し、表計算ツールで集計しました。
チャート①は公立高校全日制課程の定員達成状況です。学科数は81,2で一定ですが、定員割れ学科は年々増加。18年入試では40学科(49%)だったのが、22年入試では55学科(67%)まで増えました。それに伴い、募集定員に対する合格者(前期選抜、一般選抜、2次募集の合計)の割合が、県全体で下がっています。また、定時制は11学科のほとんで定員割れが続いています。
学校学科別のデータを反映したのがチャート②です。5年連続で定員割れとなったのは22学科。人口減少や少子化が著しい地域の普通科が目立ちますが、実業系で苦戦している学校学科も複数あります。
直近2年ほどは、秋田市の公立高校でも定員割れが出始めています。2021年は秋田商業_商業が0.97倍、新屋_普通が0.93倍。22年は金足農業の5学科中4学科が定員割れしました。金足農業の担当者は「はっきりした理由は分からないが、コロナ禍で中学生向けの体験入学を実施できなかった点が影響したのではないか」と話します。
上記の数字は定員に対する最終的な充足状況。高校入試で注目を集めるのは一般選抜の志願倍率でしょう。県教育庁は毎年2月に変更後と変更前の2回、倍率を発表しています。過去5年の最初の出願時(変更前)、倍率が高かった上位3学科は次の通りです。
- 2022年 秋田北_普通(1.46倍)、秋田工業_土木(1.42倍)、秋田工業_建築(1.42倍)
- 2021年 秋田工業_電気エネルギー(1.79倍)、金足農業_食品流通(1.68倍)、秋田工業_建築(1.54倍)
- 2020年 秋田工業_土木(1.79倍)、秋田工業_工業化学(1.54倍)、金足農業_生活科学(1.46倍)
- 2019年 秋田工業_建築(2.25倍)、秋田工業_電気エネルギー(2.13倍)、秋田工業_機械(1.61倍)
- 2018年 金足農業_生物資源(2.00倍)、秋田工業_電気エネルギー(1.88倍)、大曲農業_食品科学(1.67倍)
人気の高い実業系、志願→受験で異なる傾向も
前期選抜後の募集が25人程度で、普通科に比べて枠が小さいことも影響していそうですが、秋田工業や金足農業は毎年人気が高くなっています。
一方、受験者数を募集人数で割った「受験倍率」で見ると、違った傾向が表れます。年によってばらつきはあるものの、志願倍率と受験倍率の差が大きいのが秋田工業です。
例えば21年の電気科は出願時の1.79倍から受験時は1.33倍に低下。22年の建築科は1.42倍から1.04倍まで下がりました。教育関係者によると、秋田工業の受験生は国立秋田高専と併願するケースが多く、公立高校の入試前に高専の合格が決まる影響とみられます。
過去5年の学校学科別志願倍率、受験倍率をまとめたのがチャート③です。
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