北斗星(12月1日付)

 学生時代、東京・丸の内にオフィスを構える米国の通信社で雑用係をしたことがある。言いつけられた仕事の一つがファクス文書の仕分け。ある日、せきを切ったように書類が絶え間なく届き、てんてこ舞いになった。ほぼ全てが山一証券社員の履歴書だった

▼1997年11月、米国の有力格付け会社が、損失隠しを続けていた山一の社債を3段階引き下げ「投資不適格」とした。これが決定打となり、山一は自主廃業を決断。万事休すと悟った社員は新たな職を求め、方々にプロフィルを送ったのだった

▼四大証券の一角だった山一の破綻から25年。山一で育った人材は同業他社のみならず銀行やマスコミなど他職種にも散らばり、転職市場が広がる契機となった

▼一方で証券業界の不祥事は後を絶たない。今年もSMBC日興証券の相場操縦事件が発覚。業界が負の連鎖を断ち切れないことへの不信感は根強い

▼日本証券業協会が昨年夏に実施した調査では「証券会社があまり信用できない」が3割に上った。政府は「貯蓄から投資へ」をうたい文句に資産所得倍増を打ち出すが、担い手が信頼されなくては立ち行くまい

▼それにも増して心もとないのは、資産所得倍増を「新しい資本主義」の目玉に掲げた岸田政権。3閣僚更迭に続き、秋葉賢也復興相の「政治とカネ」の問題で防戦一方だ。辞任ドミノはまだ続くのか。内閣支持率は発足以来最低の33・1%。国民にそっぽを向かれては政権も“破綻”しかねない。

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