社説:ホストタウン交流 五輪・パラ「遺産」継承を

 昨夏の東京五輪・パラリンピックのホストタウンに登録された県内自治体が、開催から1年余り経過した今も対象国と交流を続けている。新型コロナウイルス禍で思うように進まない面もある中、五輪・パラという貴重な契機を生かした取り組みに期待したい。

 ホストタウンは参加選手との交流を通じ、国際親善や地域活性化を図る政府の施策。デンマークのホストタウンの大潟村では、五輪の事前合宿を行ったボートのデンマーク代表が10月末、再び村を訪れた。合宿中にコロナ感染防止のためかなわなかった村民との対面交流を実現しようと、村が招待した。

 昨夏の事前合宿は1カ月間にわたった。村民と直接の触れ合いはなく、小中学生とオンラインで対話したり、練習を公開したりする程度だった。その後の五輪では男子かじなしペアで銅メダルを獲得。選手にとっても今回の来訪は村民に喜びを報告できる待望の機会だった。

 小中学生ら村民との交流会が行われ、選手はレースを映像で振り返り合宿での支援に感謝した。銅メダルにも触れさせた。

 小中学生らは選手に競技を始めた経緯や、レースに臨む心構えなどを質問した。世界トップアスリートとの触れ合いは刺激となり、学習や課外活動への意欲向上につながるはずだ。

 ホストタウンには、計533の自治体がそれぞれ対象国を示して登録。このうち県内自治体は10だった。

 ただ、五輪・パラでは、コロナ禍で計画通りに合宿や行事を実施できなかった。県内で事前合宿が行われたのは大潟村だけだった。それでも交流を続けている他の自治体もある。

 タイのホストタウンの大館市では今年4月、パラのボッチャ団体で金メダルに輝いたタイ代表が訪問。優勝を報告して応援への感謝を伝え、地元の競技愛好家らと親善試合をして交流を深めた。今月20日からは、12月にブラジルで開かれる世界選手権に向けた合宿で市内に滞在しており、地元の各種イベントにも参加している。

 美郷町もタイのホストタウンとして、五輪バドミントンのタイ代表の事前合宿を予定していた。五輪後の対面交流には至っていないが、コロナの感染状況を見ながら企画する方針。今月には駐日タイ大使が町を訪れ、さまざまな交流を今後も長く続けていく意向を示した。

 長期的な交流が他の自治体にも広がってほしい。自治体の課題解決に生かすなど幅広い視野で進めるべきだ。

 国際交流には渡航や滞在などの費用が必要だが、日本スポーツ振興センター(JSC)は来年度、ホストタウンとなった自治体と各国・地域の継続的な交流を支援するための新たな助成制度を設ける。こうした後押しも受けて五輪・パラの「レガシー(遺産)」を継承していきたい。

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