社説:裁判員、18歳以上に 選任への環境整備急げ

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 殺人や放火など重大な刑事事件を扱う裁判員裁判は、来年から高校生も裁判員に選ばれる可能性がある。今年4月の改正少年法施行などに伴い、裁判員の年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたからだ。法曹界、教育界ともに、10代も安心して裁判員を務められる環境づくりを急がなければならない。

 裁判員制度は一般市民の視点や感覚を裁判に反映させる目的で2009年に導入された。無作為に選ばれた市民が審理に加わり、被告が有罪かどうかを裁判官と共に判断。有罪の場合は刑も決める。

 裁判員は衆院選の選挙権を持つ人から選任される。ただし16年の改正公選法施行で選挙権年齢が18歳以上とされた際、裁判員は従来通り20歳以上のままとする付則が設けられた。今年4月、成人年齢を18歳に引き下げる改正民法と、事件を起こした18、19歳の厳罰化を図る改正少年法が施行された。これに伴い公選法の付則は削除され、裁判員の年齢は18歳以上となった。

 裁判員の候補者登録は前年に行われるため、18、19歳の候補者が初めて登録されたのは今年。実際に選任されるのは来年となる。登録された候補者は全国で21万3700人で、うち20歳未満(来年1月1日時点)は3781人。本県では候補者1600人のうち20歳未満は20人という。

 日本財団は今年1月、17~19歳の男女千人を対象に意識調査を実施。裁判員になることに関し不安に感じることを尋ねたところ、「間違った判断をしてしまうこと」が31%と最多だった。次いで「重い刑罰を言い渡すことの責任」「自分の年齢が若く、十分な人生経験がないこと」の順に多かった。

 裁判員裁判では殺人や強盗致傷、現住建造物等放火など重大犯罪と向き合う。被告が有罪か無罪かを巡り検察官と弁護士の主張が相反することもある。死刑が適当かどうか判断しなければならない場合もある。さまざまな不安を覚えるのは当然だ。

 裁判員経験者を対象として最高裁がまとめた昨年度のアンケート結果によると、選任される前は、裁判員を務めることに消極的だった人が積極的だった人をわずかに上回った。だが裁判員を務めた後は「よい経験だった」との回答が9割を占めた。

 その理由として、裁判での説明が分かりやすかったことや、納得ゆくまで議論できたことなどが挙げられた。10代の不安解消のためにも裁判官、検察官、弁護士による丁寧な説明はもちろん、法廷や評議の場での発言しやすい雰囲気の醸成が一層重要になるだろう。

 教育現場でも法曹関係者の出前講座の活用や模擬裁判の実施などにより、生徒や学生が裁判員制度への理解を深める取り組みを広げたい。裁判のために授業を休んだ場合の学業支援など、きめ細かな対応が徹底されるよう準備を進めてほしい。

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