社説:サッカーW杯 日本、世界が驚く戦いを

 サッカーのワールドカップ(W杯)が20日(日本時間21日未明)、カタールで開幕する。中東では初開催。7大会連続7度目の出場の日本は過去最高となる8強以上を目標に掲げる。1次リーグでは強豪ぞろいの組に入ったが、世界をあっと驚かせる戦いを見せてほしい。

 W杯は国際サッカー連盟(FIFA)が主催するナショナルチームによる世界選手権。4年に1度開催される世界最高峰の大会である。砂漠の国カタールの面積は約1万1600平方キロと、本県よりも狭い。そんな小国で大会がどのように運営されるのかも注目される。

 32カ国・地域の代表が4チームずつ8組に分かれて総当たりで1次リーグを戦い、各組2位までが決勝トーナメントに進む。日本はドイツ、コスタリカ、スペインと同組。ドイツは4度優勝しており、スペインも優勝経験がある。コスタリカはベスト8に進出したことがある。森保一監督は「組織の中で個の力を生かせる選手」を選んだとしており、機動力があり、守備に優れたメンバーが並ぶ。

 ドイツとの初戦が重要だ。引き分ければ1次リーグ突破の可能性が出てくるが、負けると極めて難しい。押し込まれる展開が予想される。いかに粘り強く守り、カウンターを仕掛けられるか。スペイン戦もドイツ戦と同じような試合になるだろう。守備は前線から相手を追い続け、攻撃は相手守備ラインの裏を突くという形が見えてくる。

 W杯は6~7月に開催されてきたが、酷暑を避け11月の開幕となった。新型コロナウイルスの影響や、ロシアのウクライナ侵攻で予選は日程や実施方式の変更が相次いだ。W杯優勝4度のイタリアが2大会連続で予選敗退。初出場は開催国カタールだけで、アジア勢は史上最多6チームが臨む。

 通常は1カ月ほど事前合宿をして調整するが、今大会は欧州主要リーグのシーズンを中断しての開催。出場チームの多くは十分な準備期間がない異例の日程となる。日本代表も大半を欧州組が占める。故障を含め、選手の状態が大きく影響する。各チームのコンディションが大会の行方の鍵を握りそうだ。

 2015年のラグビーW杯イングランド大会では、日本が南アフリカから歴史的な勝利を挙げ、史上最大の番狂わせと称された。19年の日本大会では初の8強入りを決めた。サッカーも世界を驚愕(きょうがく)させるような試合をしてもらいたい。

 1993年にW杯初出場を逃した「ドーハの悲劇」はカタールが舞台。森保監督は選手として出場した。「ドーハを歓喜の地に」が合言葉になっている。

 23日にドイツ、27日にコスタリカ、12月1日にスペインと対戦する。これまでは3大会でベスト16に入ったのが最高成績。1次リーグを抜け出すだけでも世界は驚く。8強以上という高い目標設定に期待したい。

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