社説:COP27 脱炭素の加速は不可避

 世界的に洪水や熱波など地球温暖化との関連が指摘される災害が相次ぐ。温暖化は暮らしや生命を脅かす危機の様相を強めている。国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)がエジプトで始まった。

 昨年の締約国会議で各国はパリ協定に沿い、産業革命前と比べた今世紀末の気温上昇を1・5度に抑える努力を続ける方針で一致。しかし国連環境計画は温暖化対策を現状から強化しなければ気温が2・8度上がると分析する報告書を先月下旬に発表した。各国には一層の温暖化対策強化が求められる。

 新型コロナウイルス感染症の流行で低迷していた経済が回復基調にあることで、温室効果ガス排出削減が遅れる懸念がある。一方、ロシアのウクライナ侵攻によって天然ガス供給が不安定化し、石炭への回帰が見られる。いずれも温暖化への影響が軽視できない動きといえる。

 COP27は18日まで開催。欧米、アフリカなど100カ国以上の首脳らが参加する。日本からは会期後半に西村明宏環境相が出席する見通しだ。

 6日に始まった会議ではこれまで国土の3分の1が水没する洪水に見舞われたパキスタン、干ばつや海面上昇の危機にさらされるアフリカ諸国の首脳が被害の現状を訴えた。先進国の温室効果ガス削減の加速や支援を求めたのは当然だ。

 COP27では「損失と被害」と呼ばれる被害支援が正式議題となった。先進国が大量の温室ガスを排出し、発展途上国が深刻な気象災害の被害を受けている現状を打開するのが目的。

 世界の温室ガス排出の約8割は先進国と中国、インドなどの20カ国・地域(G20)が占める。これらの国々が共に排出削減を加速させなければ、温暖化対策を前進できないのは明白だ。

 今夏は日本が記録的な猛暑となり、欧米などで熱波や干ばつの被害があった。先進国も既に温暖化に伴って激甚化した気象災害に見舞われ始めている現状を直視する必要がある。

 日本の温室ガス排出削減の鍵を握る再生可能エネルギーの一つに洋上風力発電がある。本県沖では風車33基が来月にも国内で初めて大規模な商業運転を始める見通しだ。再エネの柱に育つことが期待される。

 日本の洋上風力発電は世界的には後れを取っているといわれる。一層の普及を図るためには部品の国内調達比率向上、送電網の強化などが求められる。風車の国内生産も見据えたい。再エネの電力で水素などをつくることで新時代のエネルギー供給も夢ではない。

 世界の気象災害が暮らしの中で排出される温室効果ガスと深く関わっている可能性が指摘される。身近なところで生まれる再エネが温暖化対策につながることは心強く感じられる。コロナ禍やウクライナ危機などの困難はあっても、脱炭素への取り組みを継続・加速したい。

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