社説:里親制度 理解深め一層の普及を

 里親制度が県内で広がりつつある。虐待や経済的事情などを理由に親元で暮らせない子どものうち、里親の元で生活する割合を示す「里親委託率」は2021年度末時点で24・2%となり、初めて2割を超えた。10月は里親月間。一層の普及に向けて理解を深める機会にしたい。

 実親の元で暮らせない子どもを児童養護施設や里親家庭で育てる「社会的養護」を巡っては、16年の児童福祉法改正で「家庭養育優先の原則」が明確化された。家庭的な環境が子どもの成長に好ましいとの考えがある。

 この流れを踏まえ、県も社会的養育推進計画(20~29年度)に里親の委託推進を明記。委託率を40%に引き上げる目標を掲げている。委託率の全国平均は20年度末で22・8%。国は子どもの年齢に応じて50~75%を目標とするが、まずは県目標の達成を目指したい。

 県内での委託率は17年度まで1割に満たず、13年度から5年間は全国最下位だった。制度の周知不足に加え、県内の養護施設4カ所、乳児院1カ所が養育の場として定着してきたことが理由に挙げられる。

 一方、近年は変化も見られる。県によると、県内で社会的養護が必要な子どもは21年度末時点で198人。このうち施設以外では里親家庭で38人、より多くの子どもを受け入れられるファミリーホーム2カ所で計10人が暮らす。

 里親登録数は11年度68組だったが、21年度は146組と10年で倍増。連動して委託率も伸びた。里親希望者を対象にした研修受講者も増加傾向にある。

 県や児童養護施設、乳児院など関係機関の連携による広報強化、里親をサポートする支援専門相談員の各施設への配置といった対策が実を結んだといえる。乳児院は現在、制度の普及啓発や研修、個別支援などを包括的に行う「フォスタリング機関」として里親支援の中核を担う。実効性のある施策を引き続き進めたい。

 制度普及には周囲の理解も不可欠。里親は「必ず養子縁組する」といった誤解は少なくない。週末や長期休みなど短期間に受け入れる「季節・週末里親」などさまざまな種類がある。種別によっては公費で養育手当や子どもの生活費が支払われる。

 養子縁組せず子どもが自立するまで育てる「養育里親」の場合、法的な親子関係はなく、子どもの名字は変わらない。子どもが地域に溶け込めるよう、こうした基本的な内容を多くの人が知ることが大切だろう。

 里親を孤立させない支援策も求められる。県は今月、にかほ市に相談機関・児童家庭支援センター「こねくと」を開設。相談機能の充実は大切だ。関係機関は里親同士の交流支援などにもさらに力を注いでほしい。子どもの受け入れに至っていない里親登録した家庭への定期的な情報提供、働きかけにも努めてもらいたい。

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