北斗星(10月19日付)

 本県が国体で初めて天皇杯(男女総合優勝)を獲得したのは、2007年秋田わか杉国体。秋田市の県営陸上競技場で開かれた閉会式では、大型画面に県勢をはじめとする選手の躍動する姿が映し出された。県外から補強選手を招くなどした強化策には賛否両論あった。それでも地元の総合優勝を多くの県民は誇らしく感じたのではないか

▼あれから15年。11日に閉幕した栃木国体では、開催地の栃木は天皇杯2位だった。総合優勝は東京。過去最多となる16度目の栄冠だった

▼栃木関係者の悔しさは大きかったことだろう。国体実行委員会会長を務めた福田富一知事は「残念だが、約1千人の県選手団一人一人の頑張りに大きな拍手を送りたい」とコメントした

▼本県は1961年まごころ国体で2位だった。64年新潟国体以降は、開催地の天皇杯獲得がほぼ続いてきた。しかし近年は、今年の栃木や2017年の愛媛など総合優勝を逃す例も出ている

▼背景には競技環境の整った大都市圏に有望選手が集まる現状があるのだろう。人口減の著しい県の天皇杯獲得は今後ますます難しくなるのかもしれない。だが地方で競技に取り組む選手にとって、国体は貴重な戦いの舞台であることに変わりはない

▼国体を巡っては開催自治体の負担が大きいなど課題も多く、日本スポーツ協会は持ち回りの廃止や会期短縮といった改革案を検討している。試合機会を求める選手のためにも、持続可能な大会に向けた議論が望まれる。

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