北斗星(9月24日付)

 夜明け前に大勢のランナーがスタートを切り、武家屋敷通りを駆け抜ける。仙北市角館町―北秋田市鷹巣間に、おなじみの光景が戻ってくる。30回目となる「北緯40度秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソン」があす、3年ぶりに開催される

▼大会実行委員会は新型コロナウイルスの感染対策を徹底する。西木地区で恒例の子どもたちとランナーのハイタッチは禁止。住民との交流が魅力の大会だけに残念だが、仕方ない

▼最大の難所は37キロ地点付近からの大覚野峠。約4キロ上って約9キロ下る。上りで体力を使い切ったり、下りで脚に疲労をためたりするのは禁物。峠での力の温存が完走の鍵だ

▼コースは阿仁地区でアップダウンを繰り返す。森吉―合川地区間は日光を遮るものがなく、容赦ない日差しがランナーを苦しめる。太ももやふくらはぎはもちろん、足の裏から上半身まで筋肉という筋肉がじんじん痛み、骨という骨がきしみ、関節という関節が悲鳴を上げる

▼「僕は人間ではない。一個の純粋な機械だ。機械だから何を感じる必要もない。前に進むだけだ」。マラソンを趣味とする作家の村上春樹さんは、北海道で100キロのレースに出場した際、自分にそう言い聞かせて走ったとつづっている。まさにそんな心境で前へ進む

▼大館能代空港の下の地下道を抜けると、高台から鷹巣の街並みを見渡せる。ラスト5キロ。残った力を振り絞り、綴子大太鼓が鳴り響くゴールに飛び込むだけだ。頑張れ。

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