社説:プーチン氏核威嚇 危機回避へ国際連携を

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が、国民に対する部分的な動員を可能にする大統領令に署名したと公表した。同時に核使用の選択肢を排除しない考えを示し、核による威嚇を強めた。

 ウクライナ軍の反転攻勢を受けた対応とみられ、ロシア軍が苦戦を続けていることへの焦りがうかがえる。国際社会は今こそ結束してロシアに働きかけ、停戦の道を探るべきだ。プーチン氏が核使用に踏み切ることがないよう、危機回避への慎重な対応も不可欠だ。

 ウクライナ軍は今月に入り、東部ハリコフ州を奪還。ロシア軍が大半を制圧したルガンスク、ドネツク両州のドンバス地域でも攻勢を強めている。

 これに対し、東部や南部の親ロシア派はロシア編入に向けた住民投票を行うと宣言。プーチン氏は投票を支持する姿勢を明確にした。東部や南部が「ロシア領」であることを既成事実化する意図があるとみられる。

 だがウクライナは国際社会が認めた独立国だ。その領土を一方的に自国領とすることは国際法に反する。欧米各国から一斉に住民投票を非難する声が上がったのは当然だ。

 ハリコフ州が奪還された後、ロシアでは一部で総動員を求める声が高まっていた。反戦機運を高めかねないため、プーチン氏は慎重姿勢を保ってきた。

 兵力増強なしには劣勢挽回できないとの判断から部分動員に方針転換したとみられる。ショイグ国防相は、軍務経験のある予備役約30万人に限定し、学生らは対象外と説明。国民に動揺が広がらないよう配慮した。

 にもかかわらずロシア各地で侵攻や動員令に抗議するデモが発生したという。プーチン氏が今後も国民の支持を保っていけるか注目される。

 先頃ウズベキスタンで開かれた上海協力機構首脳会議では中国とインドの首脳がそれぞれプーチン氏と会談。侵攻前の2月にプーチン氏が訪中した際は中ロ両国の友好関係を強調する共同声明が出されたが、今回はなかった。ロシアと一定の距離を置きたい中国の思惑がのぞく。

 ロシア産原油の輸入を通じロシアを支えてきたインドのモディ首相は「今は戦争の時代ではない」と異例の発言。戦闘を早く終わらせるよう促した。

 米欧各国や日本はロシア国内やロシアの友好国の情勢変化を見極める必要がある。中国、インドとの連携の可能性を探ることが期待される。

 プーチン氏の核発言はウクライナ国内の制圧地域をロシア領と見なし、ウクライナが反転攻勢を強めれば核兵器の使用も辞さないことを意味するものと受け止められる。核によるどう喝はそれ自体非難されるべきだ。

 だが実際に核兵器が使用されないという保証はない。核使用という最悪の事態を慎重に回避しながら、早期の停戦を実現することが求められる。

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