
夏休みが終わり、高校3年生は進学や就職など、それぞれの進路に合わせた取り組みを本格化させていることと思います。今年4月に公開した「データ読み解き 高校生の進路、過去10年を分析」では、秋田県教育庁の資料を基に2012~21年の大学進学率の変化や各大学への進学者数などを紹介しました。今回、新たに公開された22年3月卒業者のデータを加え情報をアップデート。さらに進学塾関係者への取材も交え、最新の動向を探りました。(斉藤賢太郎)
分析に使ったのは秋田県教育庁が公式サイトで公開している「秋田県高等学校卒業者の進路状況調査」という資料です。高卒者の進学・就職状況が、男女別、地域別などにまとめられています。どの大学に何人が進学したかという詳細なリストが掲載されているのも特徴です。
もともとPDFファイルのみでの公開でしたが、秋田魁新報の4月の取材・報道を受け、22年3月卒分から新たにExcelファイルでも公開されるようになりました。まだ単年度分ですが、PDFのみに比べ格段に活用しやすくなりました。
4年制大学進学率42%、前年並みの高水準
資料によると、22年3月に県内の全日制高校を卒業したのは6933人。このうち4年制大学へ進んだのは2917人で進学率は42.1%でした。大学入学共通テスト初年度に当たった21年は42.2%で、過去10年で初めて4割を超えましたが、22年もほぼ同じ水準となりました。他の進路は就職(27.2%)、専修学校など(19.4%)、短大(7.2%)となっています=チャート①。
22年卒の大学別進学者数を見ると、最も多いのが秋田大の359人で、進学者全体の12.3%を占めます。秋田大への進学割合は近年、10%ほどで推移しており、県内からの大学進学者の約1割が秋田大へ進んでいる状況です。
2番目以降は秋田県立大151人、ノースアジア大116人、東北学院大105人、新潟大85人など。2013~22年平均進学者数のトップ30を見ると、ほとんどが県内か北海道・東北の大学です=チャート②。
新型コロナウイルスの影響もあってか、進学・就職とも首都圏へ行く高卒者の割合は減少傾向にあります。一方、秋田以外の東北地方へ行く高卒者の割合には大きな変化が見られません。
進学者数上位には、仙台市にキャンパスがある大学が数多く入っています。若者の定着やUターンなど人口減少対策を考える際は、こうした動向も頭に入れておく必要があります。
難関大学への進学状況を見ていきます。
東京大への22年の進学者は9人で、10人だった前年とほぼ同水準でした。東大進学者数は5~10人で推移しており、大学進学者に占める割合は0.3%ほどです。
このほか主な国公立大は、東北大が69人で4人減、北海道大が16人で2人増、筑波大が9人で1人減など。国際教養大は25人で1人減でした。
マイナスの変化が大きかったのは新潟大で、50人減の85人。プラスの変化が目立ったのは秋田県立大で、13人増の151人でした。秋田県立大は県内からの進学者数が過去10年で最多。特にシステム科学技術学部の増加が目立ちました。
22年の国公立大(文科省管外の大学含む)への進学者数は1284人。高卒者全体の減少もあり、前年より102人減りました。ただ、国公立大の志望達成率は59.6%で、過去10年で最高だった21年(61.6%)に次ぐ水準です。
県教育庁高校教育課は「21年はコロナ禍の地元・近県志向が影響したほか、生徒・学校の頑張りが実り、国公立大への進学割合が高い年だった。今年もそれに近い水準になっており、今の状況は悪くない。今後も生徒の希望をかなえられる取り組みを進めたい」としています。
今年の実績に関し、秋田市の秋田南高では顕著な変化が見られました。
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