大雨被害の今、敢えて田んぼアートを味わう 乗り鉄日和~内陸線2022晩夏編
8月に日本各地を襲った記録的な大雨で、秋田県でも県北部を中心に多大な被害に見舞われた。鉄道が受けたダメージも大きく、JR奥羽線、花輪線などの一部区間で運休が続いている。中でも個人的に非常に心配しているのが、秋田内陸縦貫鉄道の秋田内陸線だ。ただでさえ赤字に苦しむ地方ローカル線は、自然災害が致命傷となりかねない。最近では、JR北海道の日高本線が、高波や台風による被害の影響で全線の約8割が廃止され、日高本線なのに日高地方を全く走らなくなってしまった。自然に囲まれ、車窓の美しさが魅力的な地方ローカル線は、災害に巻き込まれやすいという側面も否めない。
そういえば今年はまだ、内陸線の夏の風物詩・田んぼアートを見に行っていなかった。筆者が最もお気に入りの風景である田んぼアートを味わうことなく夏を終えたくはなかった。
阿仁合~鷹巣間の代行バスは停車しない駅も多く、田んぼアートを見るのはもちろん、近づくだけでも一苦労だ。今回は敢えて長時間の歩行を覚悟の上、田んぼアートを5枚全部見るという困難に立ち向かうことにした。8月21日、久々の内陸線の旅に出た。
(取材・鎌田一也)

仙北市内では通常通り観賞可能
[角館~羽後太田間][上桧木内駅]
現在、角館~阿仁合間は通常ダイヤで運行している。この区間にある2枚の田んぼアートも、通常通り観賞可能だ。今回、筆者が乗車した角館午前6時33分発阿仁合行き快速列車(通常であれば鷹巣行き)では、角館~羽後太田間の田んぼアート前での徐行は行われなかったが、何とか撮影できた。角館駅を出発した後、(国道46号角館バイパスの)跨線橋をくぐると間もなく進行方向左側に見えてくるので、徐行がない場合は特に見逃さないように注意が必要。

もう1枚は上桧木内駅ホームのすぐ目の前なので、見逃す心配はほとんどない。ここの田んぼアートは一貫して地元の小正月行事・紙風船上げと秋田犬をモチーフにしている。毎年デザインに工夫が凝らされており、見ていて飽きることはない。
たどり着けさえすれば見られる
[縄文小ケ田駅]

列車が運休中の阿仁合~鷹巣間にある田んぼアートは3枚。そのうち、縄文小ケ田駅にあるものは、車窓よりもむしろ駅ホームからの方が見やすいため、駅に足を運びさえすれば観賞可能だ。実際、筆者が訪れた際にも、乗用車で駆け付ける人が何人かいた。
問題は乗用車以外の手段で、いかにしてこの駅にたどり着くかだ。
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