社説:あす終戦77年 危機打開へ外交努力を

 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、終結の見通しが立たない状況が続く。中国は台湾周辺で大規模軍事演習を行い、武力による威圧を強めた。日本の安全保障環境がかつてないほど緊迫の度を高める中で明日、77回目の終戦の日を迎える。

 先の大戦の犠牲者を悼み、平和の尊さを再確認する日としたい。直面する危機の打開のため、地道に外交努力を続けることこそが日本には求められる。

 ロシアは、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指す隣国ウクライナの動きを阻止しようと2月に軍事侵攻を開始。独立国への明白な侵略行為であり、第2次世界大戦後の国際秩序を揺るがす暴挙は断じて容認できない。

 中国は台湾周辺を含む東・南シナ海で海洋進出を強めている。先のペロシ米下院議長の訪台に対抗した大規模軍事演習では、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルが数発着弾。台湾有事が日本の安全保障に深刻な影響を及ぼす懸念があることを示した。日本政府が強く抗議したのは当然だ。

 ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾への威圧に共通するのは、力による一方的な現状変更への指向が読み取れることだ。日本を含む先進7カ国(G7)は「一つの中国」の原則を維持している。とはいえ、台湾を制圧する可能性を示唆するような今回の演習には、懸念を覚えざるを得ない。

 さらに核・ミサイル開発を進める北朝鮮の動向にも警戒が必要だ。日本を取り巻く情勢は厳しさを増している。

 しかし日本国憲法は戦争放棄を掲げていることを忘れてはならない。困難ではあっても平和的手段を用いて、解決の道を探ることが重要だ。

 旧日本軍は1931年、中国東北部で軍事行動を起こし、各地を占領。翌年には満州国建国を宣言し、日本の傀儡(かいらい)とした。国際連盟が満州での中国の主権を認めると、連盟を脱退。その後、日中戦争、太平洋戦争と突き進んだ。まさに力による現状変更を試みて多大な犠牲を出し、敗戦を迎えたのだ。

 その反省と教訓の上に、二度と戦争を繰り返さないと誓い、平和国家として歩んできたのが戦後の日本だ。憲法の平和主義が空文化してはならない。

 政府、自民党は防衛費を大幅増額し、防衛力を強化することを目指している。「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有検討も進める。岸田文雄首相は早期の改憲発議に意欲を示す。自民改憲案は9条に自衛隊を明記することが柱だ。

 こうした動きが周辺国の目にどう映るかを考える必要がある。かえって日本への警戒感が高まり、各国の軍備増強につながる可能性もある。防衛力増強の議論が先行するのは避けるべきだ。国際社会と連携し、外交を通じて世界平和に貢献することが日本の役割ではないか。

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