社説:[2022参院選]エネルギー政策 脱炭素を停滞させるな

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 ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に燃料価格や電気代が高騰し、家計を直撃している。気候変動が深刻化する中、脱炭素の取り組みは欠かせない。エネルギーの安定供給と脱炭素をどう両立させるのか。エネルギー政策のありようが問われている。

 燃料や電気代の値上がりは、エネルギー資源が乏しい日本の現実と化石燃料への依存体質を改めて浮き彫りにした。政府は石油元売りへの補助金を通じて燃油の価格を抑制。当初3月末までの時限措置だったが延長を繰り返し、終了のタイミングは見極めが難しくなっている。

 電力需給も厳しい。政府が猛暑の東京電力管内に電力需給逼迫(ひっぱく)注意報を出す事態となった。節電や省エネで夏場を乗り切る構えだが、一層需要が高まる冬に向けた備えも必要だ。

 エネルギーの供給と価格の安定をどう図るかは喫緊の課題。各党、各候補は論戦を通じ選択肢を示さなくてはならない。

 中でも、原発に対する姿勢が争点の一つとなっている。各党の公約は再稼働推進か反対かに大別されると言っていいだろう。自民党など推進する側は、エネルギー逼迫を想定して「原子力の最大限の活用を図る」などと明示。二酸化炭素(CO2)抑制の効果の高さも訴える。

 一方、稼働で生じる核のごみの問題は解決されておらず、東京電力福島第1原発ではいまだ事故処理が続く。ウクライナ危機では原発が武力攻撃を受けるリスクに直面。北朝鮮によるミサイル発射も相次ぎ、有事の際などの安全性への不安は根強い。こうした問題にどう対応するかも問われる。

 エネルギーを巡るもう一つの焦点が再生可能エネルギー導入だ。再エネ拡大を目指すことについて各党に目立った違いはない。だが、風力や太陽光などを発電に利用するには施設整備や送電網の増強などに時間とコストがかかる。発電量の変動に対応するための蓄電池開発や補完電力の確保の課題も残る。

 政府は2050年の脱炭素社会実現を掲げる。再エネの比率を高めることは脱炭素化を進めるだけでなく、エネルギー自給率を高める安全保障の側面を併せ持つ。新たな産業振興や雇用創出につながる可能性も秘めている。

 本県沖合では国内最大規模の洋上風力事業が進行中。最先端の再エネ供給拠点として注目が集まる。また、環境省が30年度までの脱炭素化を目指す第1弾「先行地域」には県・秋田市と大潟村が選ばれた。地域特性を生かしてCO2排出削減に取り組み、先進事例を発信したい。

 各党、候補者は、脱炭素の動きと危機的なエネルギー事情を真正面から受け止めながら、原発や再エネについて自らの考えを訴えるべきだ。有権者はどの党、候補者が日本が取るべき道筋を示しているかをしっかりと見極める必要がある。

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