北斗星(6月23日付)

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 初めて投票した選挙が記憶に強く残る。東京で学生生活を送っていた1989年の都議選だ。候補者は誰一人知らなかったが、選挙公報で主張を見比べ投票した

▼中国で天安門事件が起きたばかりだった。自分と同年代の学生が大勢犠牲となった惨劇に言葉を失った。都議選に関心はなかったが、民主主義の根幹である選挙を棄権するわけにはいかないとの思いが膨らんだ。政治参加の原点となった

▼親が投票する姿の記憶が子どもの将来の投票につながる―。有権者が子どもを同伴する「子連れ投票」にはそんな効果があるという。総務省が2016年の参院選後に行った意識調査では、子どもの頃に親と一緒に投票所に行ったことのある人は、ない人よりも投票した割合が20ポイント以上高かった

▼秋田市の50代の男性会社員もそんな一人。幼少期、祖父に連れられて投票所を訪れた経験がある。「祖父は欠かさず投票する人だった。自分も大人になれば必ず選挙に行くものと思っていた」

▼参院選が昨日公示され、選挙戦がスタートした。長引くコロナ禍に加え、物価高が市民生活を直撃している。ウクライナ情勢は出口が見えず、世界の混迷が続く。山積する課題に政治はどう対応するのか。候補者と政党の主張をしっかり見極める必要がある

▼3年前の参院選・選挙区の全国の投票率は過去2番目に低い48・80%。次代を担う子どもたちに顔向けできない。今回は責任ある大人の自覚を胸に1票を投じる姿を見せたい。

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