北斗星(5月20日付)

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 「海のお城」「海底開発のホープ」―。1958年に完成した国内初の石油開発用の海洋掘削装置「白竜号」は60年代の本紙にそんな見出しで登場した。日本一の産油量を誇った八橋油田が衰退に転じた時代。設備だけでなく、寄せられた期待の大きさも伝わってくる

▼70年代前半に鳥海高原から日本海に立つやぐらを見たことがある。おそらく71年完成の第2白竜だろう。沖合には飛島も見えた

▼本県ではいま、洋上風力発電事業が進む。秋田、能代両港湾区域には計33基の風車が設置され、年内にも商用運転が始まる見込み。さらに能代市―男鹿市沖合、由利本荘市沖合では2028~30年の運転開始を見込んで風車計103基が建設される

▼洋上風力に関する記事と写真が相次ぎ本紙に掲載された。秋田港に立ち並ぶ洋上風車の白い支柱はひときわ目をひいた。また由利本荘市沖での風車建設に向け、海底掘削調査を行うやぐらを載せた作業船からは白竜号の姿も連想された

▼本県沖での洋上風力事業に寄せられる期待は白竜号をもしのぐ大きさかもしれない。一方で漁業への影響や電波障害などには懸念もある。一つ一つ丁寧な対処が必要なのは言うまでもない

▼日本海の景観が損なわれるのは残念との声も聞かれる。ただ秋田火力発電所の煙突と風車群が並ぶ光景を見るたび、時代の変化を思わずにいられない。火力が縮小していく半面、脱炭素社会へ向けて風車や太陽光パネルは一層身近な存在になっていく。

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