社説:脱炭素先行地域 特性生かし、好事例示せ

お気に入りに登録

 政府が掲げる「2050年の脱炭素社会」実現に向け、環境省は30年度までの脱炭素化を目指す「先行地域」の第1弾を発表した。本県からは県・秋田市と大潟村の提案が選ばれた。地域特性を生かして二酸化炭素(CO2)排出削減に取り組み、好事例を全国に示す必要がある。

 先行地域は、再生可能エネルギー導入と省エネ対策を組み合わせ、家庭やビルの電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロにすることを目指す。脱炭素化のモデル地域として期待される。

 第1弾の募集には102自治体から79件の提案が寄せられた。環境省は学識経験者でつくる委員会の評価を踏まえて48自治体の26件を選定。いずれも「脱炭素化の意欲と実現可能性の高い地域」との“お墨付き”を与えた形だ。3件に1件しか選ばれない審査の狭き門を、本県の2件が通過した意義は大きい。

 県と秋田市は向浜地域を脱炭素エリアに設定し、下水道施設を核とした取り組みを共同で提案。汚泥から出るメタンガスを利用する発電装置や太陽光パネル、風車、蓄電池を導入し、こまちスタジアムや県立プールなどの九つの公共施設に電力を供給する計画だ。

 大潟村は村中心部を対象エリアとし、村営住宅と一般住宅、公共施設の屋根などに太陽光パネルを設置する。村有地に大規模太陽光発電所(メガソーラー)も導入し、ホテルで使う電力を供給。もみ殻を燃料とする熱供給事業も手掛ける。村全体で消費される家庭など民生部門の電力の6割を賄うという。

 県と秋田市は多くの公共施設が向浜地域に集積している点や人口減で下水道事業の経営が悪化する現状、大潟村は広大な土地や大量発生するもみ殻に着目している。地域の実情や特性をよく捉えて計画を立てており、他の自治体が脱炭素化の具体策を練る際の参考になるはずだ。

 第1弾公表に当たり、山口壮環境相は「脱炭素と町おこしを車の両輪として相乗効果を持たせてやっていく」と強調した。選定された自治体は、再生エネ導入を地域経済の活性化や住民生活の向上に生かす観点を忘れてはならない。

 計画が順調に進めば取り組みが波及し、全国的なうねりとなるだろう。一方、発電施設の設置が思うように進まなかったり、財源不足に直面したりする事態が生じれば、機運に水を差すことになりかねない。計画実現には、先行地域内の住民や施設利用者の理解と協力も欠かせない。

 環境省は25年度までに先行地域を少なくとも100カ所に増やす考えで、年内にも第2弾を選定する。県も50年までの脱炭素化実現を目標に掲げ、先月宣言。オール秋田での取り組みをこれまで以上に加速させる必要がある。県内の各自治体は次世代を見据えたまちづくりを進める好機と捉え、先行地域入りに積極的に挑んでもらいたい。

秋田の最新ニュース