社説:文通費、法改正へ 使途公開、義務付け必須

 国会議員に月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」に関し、日割り支給や名称変更などを盛り込んだ改正法が15日に成立する見通しとなった。自民、立憲民主など与野党5党が合意した。

 これまで焦点となっていた使途公開を巡る議論は先送り。名称変更は、議員の使い勝手を良くする狙いではないかとの疑念が拭えない。公費支出に透明性は不可欠。使途公開の義務付けこそが優先課題だ。

 文通費を巡り問題が浮上したきっかけは昨年10月31日に実施された衆院選。初当選議員の10月の在職日数は1日だけなのに1カ月分が満額支給され、疑問の声が上がった。

 国会議員の給与に当たる歳費(月額約130万円)は1日単位で支給額を計算する日割りになっている。一方、文通費には日割りの規定がなく、在職日数に関係なく満額支給される。

 文通費は「第二の歳費」とも呼ばれる。領収書などを添付しての使途公開や未使用分の国庫返納を義務付けられていないため使用実態は不透明。「秘書の給与やパーティー券購入に充てる議員もいる」などと野放図な実態を指摘する声がある。議員は納税者である国民に対し、文通費を何に使ったかきちんと説明する責務があるはずだ。

 国民の批判が高まる中、文通費の日割り支給については当初から与野党間に異論はなかった。立場が分かれるのは使途公開などを巡る議論だ。

 野党は使途公開も必要として昨年の臨時国会に法改正案を提出するなどしてきた。自民党内には消極的意見が少なくなく、協議は難航する可能性がある。

 今回の合意は、4月24日に投開票が行われる参院石川選挙区補欠選挙の当選者への支給に間に合わせる狙いがあるという。共産を除く与野党が使途公開の議論を先送りし、文通費の名称などの変更で合意したのは唐突感がある。

 国会法と歳費法は、文通費を「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」の手当と規定。検討中の法改正案では「調査研究広報滞在費」と名称変更し、目的は「国政に関する調査研究や広報、国民との接触や交流、滞在等の議員活動を行うため」と定義する。調査研究などを目的とすれば、使用できる範囲が大幅に広がることもあり得る。

 現在の文通費が法の趣旨に照らして適正に支出されているかが疑問視されていることを忘れてはならない。その疑問に答えない上に、規定を緩めてさらに議員の便宜を図るような変更は、お手盛りと批判されても仕方がない。

 地方議員の文通費に相当する政務活動費に関しては全国的に領収書公開が進む。国会議員は地方議員以上に公費支出に関し透明性確保に努めなければならない。使途公開の義務付けに関しても法改正を急ぐべきだ。

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