北斗星(3月12日付)

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 いつの時代も大規模災害に直面した人々は惨状や教訓を後世に伝える責務を感じてきたのではないか。死者・行方不明者が10万人を超えた99年前の関東大震災。美人画で知られる画家の竹久夢二は堅固な建物が倒れ、火災で家屋が焼失した東京をスケッチして回った

▼その場での心境を文にして添え、当時の新聞に「東京災難画信」として連載。避難をして公園のベンチに座り込む人たちや役所の配給にできた行列、警察が流言飛語を取り締まることを伝えるポスターなどを描いた

▼あちこちに火葬が終わった白骨が山積みされていた。「今さらのように、大きな事実を感ぜずにはいられない」。夢二が震災の現実を受け止めるので精いっぱいだったのが読み取れる

▼89年前の昭和三陸地震は岩手県を中心に津波被害が生じた。物理学者の寺田寅彦は随筆「津浪と人間」をしたため、同様の津波は過去にもあり、将来も繰り返されるだろうと指摘した。三陸沿岸だけでなく、「太平洋沿岸各地を襲うような大がかりなもの」もあると予測。過去の災害を忘れない努力を求めた

▼未曽有の被害をもたらした東日本大震災。きのう発生から11年を迎えた。自治体や民間団体などは書物やウェブサイト、記録映像などさまざまな形で当時の状況や防災の反省点を伝えている

▼将来の被害を小さくするために先人や現代の被災地の経験から教えられることは多い。いつか起きる次の災害に備え、大震災が残した教訓を学び続けたい。

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