北斗星(3月6日付)

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 久しぶりに踏む土手の草は柔らかかった。雪解け水を含んでいるせいか、靴が軽く沈み込むのが心地良い。足元の土の匂いも懐かしい。枝ばかりの並木は根元の雪が円く解けていた

▼春を見つけたくて、雪の残る秋田市の旭川沿いを歩いた。探し物が見つからず、近くの高台へ足を延ばす。つぼみのままのフキノトウがある。鮮やかな黄緑の小さな球が枯れ葉の間から恥ずかしげに顔を出していた

▼春の足音を確かめながら、大雪に見舞われた地域のことが気になる。横手市では昨冬、リンゴなどの果樹が打撃を受けた。この冬を無事に乗り切ることができたのだろうか。枝折れなどで木が再び傷ついてはいないだろうか

▼地元では先月の3連休ごろから、果樹園で雪の掘り起こしに精を出す農家が目立ったという。積もった雪が締まると沈み込む力が生じ、埋もれた枝が折れる。それを防ぐため掘って枝を助けるのだ。早く解けるようにと炭の粉をまく人も結構いたようだ

▼最近は「雪が多くて大変だった」があいさつ代わりらしい。ただ「昨冬ほどの深刻さは感じられない」とリンゴ農家は語る。「木を守るために、やれることはやったということだと思う」。ただ若い木の枝が折れた果樹園もあると聞く。小さい被害にとどまるよう祈りたい

▼きのうは「啓蟄(けいちつ)」。土の中に寒い間こもっていた虫が出てくる頃といわれる。その少し前、残雪の上を小さな虫がゆっくり飛んでいた。早春を告げる雪虫だったのだろうか。

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