社説:重点措置延長へ 対策全般、練り直し必要

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 新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置の延長に向け、政府が調整を進めている。現在、31都道府県に適用中で期限は6日。延長する場合の新たな期限としては21日案が浮上。あす4日、正式決定する見通しだ。

 適用について岸田文雄首相は先月、「一定の効果があると信じているからこそお願いしている」と国会で答弁した。今回も延長の一方で解除する自治体が見込まれるため、「一定の効果」はあったのかもしれない。

 だが現状は依然として厳しい。全国の新規感染者数は減少傾向にあるものの、その速度は鈍化。重症者数は高止まりしており、死者は増え続けている。

 猛威を振るうオミクロン株は、感染後に他の人にうつるまでの日数が2日程度。従来株よりも感染速度が非常に速く、感染の連鎖を食い止めるのが難しいと専門家は指摘している。

 自治体によっては高齢者が重症化し入院が長期化。回復後も基礎疾患などのため転院が進まず病床が逼迫(ひっぱく)している。高齢者施設ではクラスター(感染者集団)の発生が後を絶たない。

 全国の自宅療養者は先月、過去最多の57万人超となり、昨年の第5波ピーク時の4倍を超えた。容体急変で亡くなる事例も出ており、保健所の健康観察が行き届いているのか疑問だ。

 この現状を見れば措置延長が十分な効果を上げるか疑わしい。内容の大して変わらない対策の繰り返しでは感染抑制の決め手にならないのではないか。

 政府が「切り札」と位置付ける2種類の軽症者向け飲み薬も、スムーズに供給できるか不透明だ。共に米製薬大手製で輸入量が限られるためだ。

 同時に服用できない薬が多く、投与に慎重さが求められるという難しさもある。政府は、薬剤師と病院間の連携を強化する体制をつくるとともに、必要量確保にさらに力を注ぐべきだ。

 明るい材料は国内製薬会社が初の軽症者向け飲み薬を開発、承認を申請したことだ。国は安全性をしっかり精査し手続きを確実に進めなければならない。

 ワクチンの3回目接種は岸田首相の号令でスピードを増しているものの、接種率は人口の2割程度。英独仏の5割超に比べれば、まだまだ遅れているのが実態と言わざるを得ない。

 自治体によっては、予約券なしに打てる会場を開設した所もある。こうした取り組みを広めるなどして、希望する人が早く接種を受けられる態勢づくりを政府は加速すべきだ。

 オミクロン株に関しては、より強い感染力を持つとされる派生型の市中感染が東京都内で発生したとみられる。このため、派生型が次の感染拡大につながらないという保証はない。

 感染速度に対応できない状況が続けば、まん延状態がさらに長期化する恐れもある。そうした事態を招かないため、岸田政権は対策全般を練り直し、対応スピードを上げるべきだ。

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