社説:北京冬季五輪閉幕 将来見据え課題検証を

 北京冬季五輪が閉幕した。新型コロナウイルスの世界的流行が続く中、昨夏の東京五輪と同様に徹底した対策で感染拡大の封じ込めを図った大会。不自由な環境下にあっても各競技で躍動する選手らの姿は多くの人々の胸を打ったことだろう。

 県勢では4大会連続出場のバイアスロン女子の立崎芙由子選手(自衛隊、北秋田市出身)がリレーを含め5種目に出場。アルペンスキーで県勢初の五輪代表となった向川桜子選手(富士フイルムBI秋田、横手市)は大回転、回転に出場した。上位進出はならなかったが、それぞれ存分に持てる力を発揮した。

 日本勢は金3、銀6、銅9の計18個のメダルを獲得。前回平昌大会の13個を上回って冬季五輪最多となった。メダルの色や有無に関わりなく、力を尽くした選手たちに惜しみない賛辞を贈りたい。

 一方で競技に臨む選手らの熱意に水を差すような出来事が続いた。一つは審判員のジャッジや競技規則を巡る騒動、もう一つはドーピング問題だ。過去にも例はあるが、今回特に目立ったのは残念でならない。

 スノーボード男子ハーフパイプ決勝で大技を決めた平野歩夢選手の2回目の得点が伸びず疑問の声が噴出。同じ構成だった3回目で金メダルをつかんだ。スキー・ジャンプ混合団体では日本を含む女子選手5人がスーツの規定違反で失格、検査手法に疑念が持たれた。より明確で透明性のあるルールが必要だ。

 フィギュアスケート女子のドーピング問題も大会に暗い影を落とした。金メダル候補と目されたロシア・オリンピック委員会(ROC)の15歳の選手のドーピング疑惑で、選手の出場を巡る関係機関の判断へ疑問の声が高まり混乱が生じた。

 ロシアは過去に組織的なドーピングが発覚。世界反ドーピング機関(WADA)が五輪・パラリンピックの東京大会、北京冬季大会を含む主要大会から選手団の除外を決定している。個人資格で出場の選手を巡って起きた新たな疑惑に厳しい目が向けられたのは当然だ。

 そのロシアは兵力展開や軍事演習で隣国ウクライナとの緊張を高めていた。そのさなか習近平国家主席はプーチン大統領と五輪外交を展開。良好な中ロ関係を誇示して、五輪の政治色を強める結果となった。

 中国は欧米が弾圧を指摘するウイグル族の選手を開会式の聖火リレー最終走者に起用。民族融和を演出したのは「五輪の政治利用」と言わざるを得ない。

 五輪はこのほかコスト膨張、商業主義の横行などの課題が指摘される。札幌市が目指す2030年冬季五輪招致は市民をはじめ広く理解が得られるのか。

 コロナに限らず今後も感染症流行の恐れは拭えない。東京、北京の両大会で見えてきた諸課題の検証こそが大切だ。五輪の現状を見直した上で誘致、開催の可否を熟考したい。

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