社説:変異株重症者急増 特性に絞った対策急げ

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 新型コロナウイルスの変異株オミクロン株が猛威を振るい、全国で重症者が急増している。1カ月で約20倍に増え、その数は千人を超えた。高齢者に急拡大しており、基礎疾患が悪化する事例も目立つ。

 オミクロン株は重症化の可能性が低いとされているが、感染拡大のスピードが非常に速い。このため、感染者の急増に伴って重症者も増えることは従来、予測されていた。

 政府は昨夏の第5波の反省を踏まえ、全国の病床を約3割増加。保健所の人員も、最大で平時の約3倍に強化するなどの対策を取ってきた。

 にもかかわらず各地で病床が逼迫(ひっぱく)。政府の対策は感染速度に追い付いておらず、このままでは抑制は難しいのではないか。

 懸念されるのは、重症者の治療が十分にできなくなるような事態だ。高齢者は入院して寝たきりになると身体機能が急激に衰え、「退院までに時間がかかる」と医療関係者は指摘する。

 病床の逼迫をもたらすのは、重症者の急増だけではない。医療従事者が濃厚接触者と判断されて自宅待機せざるを得なくなり、現場の人手が足りなくなることも拍車を掛けている。

 自宅療養者が43万人を超え、第5波ピーク時の約3倍に達したことも懸念材料だ。保健所の健康観察が行き届かず、病状急変に対応できない事態も起こり得る。第5波のように、十分な治療を受けられず自宅で亡くなる事態を招いてはならない。

 この厳しい状況に対処するには、医療体制の見直しが不可欠だ。臨時医療施設の整備や病床転換、保健所の人員拡充も含め、オミクロン株の特性に絞った体制を政府は早急に再構築しなければならない。

 3回目のワクチン接種の遅れも指摘せざるを得ない。英独仏や韓国の接種率はいずれも5割超。日本は1割にも満たない。

 岸田文雄首相は月内に1日100万回実現可能との見通しを表明。東京と大阪では自衛隊運営の大規模会場が本格稼働を始めた。接種は重症化予防効果があるとされ、希望者が受けられる体制を早急に整えるべきだ。

 ただ忘れてならないのは、副反応についてしっかりと理解してもらうことだ。副反応との関連性が疑われる死亡事例は、昨年末までに1400件超に上った。国の制度に基づく救済認定も進んでいないのが現状だ。

 コロナ対策としての接種の重要性は理解できるが、接種を受けるのはあくまでも個人の判断だ。ワクチンの効果と副反応、さらには救済制度について、政府は積極的に国民に情報を発信すべきだ。併せて被害者の救済を急がねばならない。

 空気中に浮遊する微粒子「エアロゾル」による感染への正しい予防法についても、もっと周知すべきだ。換気の重要性と3密の徹底回避、不織布マスクの着用などを分かりやすく、繰り返し発信する必要がある。

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