社説:コロナ自宅療養 患者の支援体制、拡充急げ

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 政府は新型コロナウイルス対策の一環で、若年層などの重症化リスクが低い感染者は医療機関を受診しないで自宅療養に入ることを認める方針転換を表明した。自分で検査し、結果を行政側に連絡するという。

 重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人の医療を確保するためには、軽症者が殺到しないよう受診を控えてもらうのはやむを得ない面がある。ただし自宅療養者の健康観察を徹底し、病状が悪化した場合は迅速に医療機関での受診、入院につなぐことが不可欠。そのための行政側の体制拡充を急ぐべきだ。

 新変異株・オミクロン株が主流の現在の流行「第6波」では、かつてないスピードで感染者が増加している。まん延防止等重点措置の適用地域は計34都道府県に拡大した。

 オミクロン株は重症化率が低いとされるが、感染者急増が続けば、自宅療養中に病状が悪化する例が出てくることが予想される。一方、健康観察などを行う保健所の業務が感染急拡大でパンクしそうな地域がある。

 医療を受けることは国民の権利であり、若年層であっても希望すれば受診を認めるべきだ。その上で、自ら受診を控えて協力してくれる人への対応を充実させなければならない。自宅療養者には食品などの生活必需品を確保し、自宅まで届けるなどの支援も必要だ。

 感染の有無を自分で検査するためには抗原検査キットなどが必要だが、既に品薄状態だ。政府は国内メーカーに国による買い取りを保証。当面1日80万回分まで増産するよう要請した。

 キットの多くは輸入頼り。需要は世界的に伸びており、品薄の早期解消は難しい。感染が疑われる人がキットを手に入れられない場合も想定し、対策を講じるべきだ。

 岸田文雄首相は「最悪の事態」を想定し「先手、先手」で対策を講じる姿勢を強調してきた。だがオミクロン株の感染拡大のスピードに対策が追い付いていないのが現状だろう。

 対策の鍵とされるワクチンの3回目接種について、岸田首相は「前倒し」を表明している。2回目接種から一定期間が経過した高齢者らを対象とする3回目接種が完了するのは、2月末の見込みという。希望者へのワクチン接種時期を一層前倒しすることが求められる。

 今回の重点措置は飲食店の営業時間短縮など、従来の重点措置を踏襲するような内容が多い。全国の知事からは、従来とは性質が異なるオミクロン株に対する効果を疑問視する声も上がっている。自宅療養容認の方針が示されたのは重点措置適用決定後であり、後付けの印象は拭えない。

 岸田首相は重点措置決定に際して記者会見の場を設けてこなかった。コロナ対策が効果を上げるためには、国民の理解と協力が欠かせない。国民に向け説明を尽くす場を設けるべきだ。

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