北斗星(1月12日付)

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 昭和40年代には今頃の季節になると、由利海岸の漁港そばでは砂浜に無数のブリコが打ち上げられたものだ。色とりどりのじゅうたんさながらに埋め尽くすのだ。子どもたちは雪合戦のようにブリコを投げ合って遊んだ。海が豊かだった頃の記憶である

▼先日、同じ場所を訪れた。かつて砂浜を覆っていたブリコは1個もなかった。代わりに打ち上げられているのは多数のプラスチックごみ。現代を象徴する光景である

▼今季のハタハタ漁はほぼ終わった。県全体の水揚げは沖合漁と季節漁を合わせて280トン止まり。目標の600トン程度に遠く及ばない記録的な不漁だ。禁漁期間を経て一時は盛り返す兆しもあっただけに、また駄目なのかとため息が出る

▼不漁の要因として、地球規模の海洋環境の変化が考えられるという。これには近年何かと話題になることが多い海水温の上昇も含まれることだろう

▼今後沖合で起きようとしている変化もハタハタの生態に影響しないだろうか。昨年暮れに事業者が決まった本県沖3区域の洋上風力発電のことだ。くい打ちによる海底や海流の変化に加え、風車や送電線が低周波、電磁波を発することを懸念する研究者もいる

▼脱炭素社会の鍵を握る再生可能エネルギーとして事業の成否が注目される。一方、物言わぬ海の生き物に思いをはせると、やや複雑な思いが交錯する。本県沖を産卵場所に選んできたハタハタは、沖合の様子が変化しても変わらず訪れてくれるのだろうか。

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