北斗星(1月1日付)

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 一年の計は元旦にあり―。85年前の1937年1月1日付本紙に画家藤田嗣治が寄稿し「歴史的秋田の意味を探求して凡(あら)ゆる風俗を盛り、現代に活(い)かしてみたい」などと熱く決意を記した

▼県立美術館(秋田市)に展示されている大壁画「秋田の行事」に懸ける思いだ。大壁画には太平山三吉神社の梵天奉納や竿燈まつりなど伝統行事が躍動感豊かに描かれているだけではない。画面左には冬の情景が描かれている

▼米俵を馬そりに載せたり、野菜を馬に負わせたりして運ぶ男性たちがいる。正月用のサケや花を背負った女性、たこを手にした幼子もいる。いずれも雪や寒さに負けぬたくましさだ。大壁画は同年2~3月に描き上げられ、藤田は「計」を見事に実現。今や県民の宝だ

▼藤田には及ばなくても、誰でも「計」を抱くことはできる。藤田が秋田で出会い、絵のモデルにした人たちにもそれぞれに抱負や夢があったに違いない。ささやかでも目標を持つことが明日につながる

▼2022年が幕を開けた。コロナ禍は3年目。世界的に新変異株感染が急拡大、先行きは不透明さを残す。一方で3回目のワクチン接種が始まった。重症化リスクのある患者用の飲み薬も使えるようになった。状況は明るい方へ向かっていると信じよう

▼竿燈まつりをはじめ2年連続で中止された伝統行事は多い。観光、飲食など経済活動も停滞を余儀なくされた。今年こそ再生へ歩みを進められたら。そんな一年の計を胸に刻みたい。

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