北斗星(12月20日付)

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 「おいしい牛のステーキやすばらしい味のカレー(中略)、それをたいらげたあとは『目が輝く』心地がした」―。英国の女性紀行家イザベラ・バードは滞在先の秋田市で久しぶりに「西洋料理」を食べた喜びをこう記している

▼「完訳日本奥地紀行」(平凡社)の注によると、バード来県の1カ月前に開店したばかりの料理屋から宿に出前してもらったらしい。バードが本県を含む東北、北海道などを旅したのは1878(明治11)年。既に西洋料理の店があったとは意外な気がする

▼バードは同市滞在中、近代的な医療を施す病院や師範学校を訪問したほか、伝統的な婚礼や祭りなども見ている。文明開化期の風俗や文化を知る上で貴重な記録だ。最近はフィクションを交えた漫画が雑誌連載されるなど、注目度が高まっているようだ

▼市文化創造館では舞踏劇が披露された。本県入りして湯沢市院内から北上し、青森県境の矢立峠に至るまでの道中の見聞をモチーフにしたユニークな公演だった

▼仙北市の劇団わらび座は、来年1月30日から新作ミュージカル「レディ・トラベラー~イザベラ・バードが出会った秋田」を秋田市のにぎわい交流館で上演する。脚本・演出の栗城宏さんは「やっぱり秋田っていいよな」と思ってもらえる舞台にしようと意気込む

▼1世紀半近く前に旅した異国の女性の目に映った秋田の姿はどう再現されるだろう。過去を振り返ることが、未来を考えるヒントにつながると期待したい。

イザベラ・バードに関する連載企画です

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