社説:同性パートナー制 理解の促進へ導入急げ

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 同性カップルを婚姻に相当する関係と公的に認める「パートナーシップ制度」の導入に向けた動きが県内で相次いでいる。今月に入り、県が導入検討を表明。秋田市は県内市町村では初めて、来年度中の導入を目指す考えを示した。

 LGBTなど性的少数者に対する社会の理解は徐々に広がっているとはいえ、十分ではない。パートナー制度の導入は国が同性婚を認めていない中、当事者の権利擁護に向けた一歩となる。理解を一層促進するためにも対応を急ぐべきだ。

 当事者や支援団体は以前から制度の必要性を訴えていた。県は性別や障害、性的指向などを理由とする差別をなくそうと、「多様性に満ちた社会づくり基本条例(仮称)」の来年4月施行を目指している。条例に関する有識者会議でも同様の意見が出ていた。

 県の導入検討は、こうした声に応えたものだ。実現すれば県内のどこに住んでいてもパートナーとして届け出できるようになる。その意義は小さくない。

 パートナー制度は2015年、東京都渋谷区と世田谷区が国内で初導入。その後、全国の130自治体に広がり、総人口の4割をカバーするまでになった。都道府県では茨城、大阪など5府県が設けている。

 導入済みの県外自治体では、パートナーと証明されると公営住宅への入居申請や公立病院での面会・手術同意などができるようになる。携帯電話の家族割引などの民間サービスも受けられる。

 県と秋田市は今後、具体的な制度設計を進める。県は県営住宅や県が関係する病院で、証明書を示せば家族と同等の対応を受けられるよう調整するという。市町村とも連携し、県関係の施設や行政サービス以外にも制度の適用範囲が広がるよう努めてほしい。

 性的少数者には、周囲の偏見や無理解から生きづらさを抱えている人が多い。制度ができても届け出るのをためらう場合もあり得る。当事者が安心して利用できる環境を整えるため、偏見や差別の解消にこれまで以上に積極的に取り組むべきだ。

 自治体のパートナー制度には法的拘束力はない。所得税の配偶者控除や子の共同親権などは認められず、異性間の結婚との違いは大きい。

 同性婚を国が認めていないことについて札幌地裁は今年3月、「法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」という初の司法判断を示した。国に対応を迫ったものといえる。

 海外では先進国を中心に約30の国・地域が同性婚を認めている。日本でも幅広い議論が求められる時期に来ているのではないか。

 性的少数者の割合は1割弱という民間調査もある。多様性を尊重し、誰もが暮らしやすい社会をどう築くのか。国や自治体の姿勢が問われている。

「性的少数者」に関する連載企画です

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