社説:今冬の県内観光 地域経済への波及期待

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 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることを受け、県内の観光需要の回復を図る動きが進んでいる。コロナ禍で打撃を受けた観光業界にとっては明るい材料といえる。

 観光産業は宿泊や飲食、物販、交通など関連する分野が広く、地域経済への波及効果が大きい。これから冬本番を迎える中、感染防止対策を徹底しながら誘客を強化し、県内観光と経済活動の活性化を実現させたい。

 コロナ感染者数は全国的に低水準で推移。県内では今月、1桁かゼロの日が続いている。東北、新潟の7県知事らは全国に東北・新潟への旅行を呼び掛ける共同メッセージを発表。佐竹敬久知事は年末年始の帰省について、自粛を求めない考えを示した。今後、人の流れは活発化しそうだ。

 コロナ禍以前から、冬季の県内宿泊客は他の季節より少なく、冬季観光の振興が課題として指摘されてきた。需要の掘り起こしに一層知恵を絞らなければならない。

 県は19日、県民を対象に宿泊費補助事業「あきた冬割キャンペーン!」を開始。宿泊施設の対象プランの代金を1人当たり最大5千円割り引く。併せて道の駅や土産物店で使える千円分のクーポン券を配布する。

 12月末で終了する「あきた県民割キャンペーン」の後継事業という位置付けで、来年2月末までの予定。県民限定とはいえ、需要喚起に一定の効果が期待される。

 国は観光支援事業「Go To トラベル」を来年1月下旬から2月上旬に再開することを検討している。再開されれば県外観光客の増加も予想される。誘客の好機を生かしたい。

 一方、コロナ流行の「第6波」を懸念する声も根強い。引き続き感染対策が欠かせないことは言うまでもない。

 コロナ禍で旅行の形は変化し、近場で楽しむ「マイクロツーリズム」や密を避けられる屋外スポットが注目されるようになった。スキー場や小正月行事などの資源を生かし、観光消費額の増加につなげるべきだ。

 中長期的な視点で戦略を練る必要もある。県は来年度から4年間の観光重点施策を盛り込んだ「県観光振興ビジョン」素案を策定。観光客に関するデータを集めてニーズを正確に把握し、集客に向けた情報を発信するなどデジタル技術を活用した取り組みを推進する。世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」を生かした広域周遊ルートなどの開発も進めるという。

 県がデジタル技術について観光業者などを対象に実施したアンケートでは「関心はあるが活用できていない」との回答が約7割だった。観光業界のデジタル化のためには、個々の業者や団体がデジタル技術を使いこなせるようになることが重要だ。インターネットを通じた情報発信などを強化し、本県観光の魅力を向上させたい。

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