社説:秋田銀行包括提携 地域支える事業に力を

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 秋田銀行と岩手銀行が包括業務提携を結ぶことで合意した。人口減少や超低金利の長期化で経営環境が厳しさを増す中、県内のトップ銀行としてお互いの強みを生かし、新たな収益の柱を共同で見いだすのが狙いだ。銀行業務の規制緩和の流れを追い風に新たなビジネスモデルを打ち出し、地域経済に還元できるか注目される。

 地銀は利益を上げるのが難しい状況に直面している。日銀のマイナス金利導入を背景に、本業の収益源である貸し出し利ざやは縮小。そこに人口減や高齢化による顧客基盤の縮小や地域経済の疲弊が重なる。融資で稼ぐ体質からの脱却と経営基盤の強化は喫緊の課題と言える。

 両行は提携により、地域商社の連携と創業支援を進めるほか、事業承継や合併・買収(M&A)のサポート、新事業創出による収益力向上などで協業する考えだ。経営体力を強化しつつ、地域に活力を取り戻す試みに果敢に挑んでもらいたい。

 両行はこれまで、青森銀行を含めて現金自動預払機(ATM)の手数料を無料化し、合同商談会を開くなどして協力関係を築いてきた。今回の提携は、こうした取り組みで醸成された信頼関係の延長線上にあり、厳しい経営環境下で生き残っていくための改革にほかならない。

 銀行経営を巡っては、業務範囲の拡大を認める改正銀行法が22日に施行された。地域産品の販路拡大や広告、ITといった事業に参入できるようになり、新型コロナウイルス禍による社会経済の環境変化にも対応しやすくなるとされる。包括提携もこうした流れをくんだ動きだろう。地方創生やデジタル化を推進し、経営体質を改善するため、規制緩和をどう活用するかが問われることになる。

 地域経済はコロナ禍で深刻なダメージを受けた。企業は経営者の高齢化に加え、コロナ後の社会の変化や急速なデジタル化への対応を迫られている。事業承継や企業再編などの課題を解決へと導き、付加価値を向上させるよう、地銀は支援策にも力を注がなくてはならない。

 秋田銀行は今回、経営統合や合併ではなく、よりハードルの低い包括提携を選択。お互いの独立性を守るという。

 先行して連帯を図った地銀には業務提携を足掛かりに関係を深めたケースが多い。青森県の青森銀行とみちのく銀行は包括提携で急接近し、2024年合併を目指す。フィデアホールディングスと東北銀行も包括提携を結び統合準備に入った。

 秋田銀行と岩手銀行も将来的には経営統合に向けて動きだす可能性がある。業務効率化を一層進めることは足腰の強靱(きょうじん)化につながる。持続可能性の高い経営への進展も考えられる。

 ただし、それは手段であり、目的はあくまでも事業者の成長や地域の活性化であるべきだ。地域経済を支えるという大切な使命が地銀にはある。

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