北斗星(11月18日付)

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 赤いリンゴが柔らかい秋の日差しを浴びていた。山の麓に広がる幾つもの果樹園。たわわに実った沿道の果実が青い葉と鮮やかな対照を見せる。その赤は紅葉と競い合うかのようだ

▼横手市平鹿町の果樹園では今月上旬、甘い香りが漂っていた。春には白い花を咲かせていた。それが今、誇らしげにたくさんの深紅の実を結んでいる。その重さで腰のあたりまで枝が垂れている木もある

▼昨冬は2メートルを超す大雪で木々がひどく傷ついた。折れた太い枝は穴を開けてボルトで固定。すっかり元気になって実をぶら下げている。リンゴの木は何て強いのだろう。その姿を見るたび、生命力に心を打たれる

▼大きな実がなるようにごく一部を残して花や小さな実を摘む。日が当たるように一部の葉を取り除き、実を回す。全体が色づくようにするためだ。春以降、忍耐の要る手作業を経て園は収穫を迎えていた。経営する60代の農家は妻と二人三脚の日々だ

▼6月以降の少雨、7月の高温で今季は実がなかなか大きくならなかった。試食したふじはやや小ぶりだったが、甘さと酸味のバランスが良く濃厚な味がした。果汁で指がぬれるほどだ

▼「気候変動の波が大きくなる中、健全な木を作らなければ。問診できなくても『具合悪くないか』と観察することはできる。もっといいものが取れるよう剪定(せんてい)の技術などを見直したい」と語る。夕日を浴びて輝く赤いリンゴは、大雪を乗り越えた農家の努力をたたえているように見えた。

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