木村伊兵衛回顧展(1)東京下町 にぎやかに一座到来

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 昭和の写真家・木村伊兵衛(1901~74年)の生誕120年を記念した回顧展が13日から、秋田市中通の県立美術館で開かれる。県内の農村を巡った「秋田シリーズ」をはじめ、多くの傑作を残した巨匠だが、そのまなざしは、生涯を通して庶民の生活や日常風景に向けられていた。平野政吉美術財団の小泉俊貴学芸員が、さまざまな被写体の作品を紹介する。全5回。

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町廻り、佃島界隈、東京、1954年 (C)Naoko Kimura

 木村は東京下町生まれ。プロとして歩み始めた29歳の頃、当時まだ珍しかったドイツ製小型カメラ(ライカ)を手に入れた。肖像写真や下町のスナップショットで頭角を現し「ライカ使いの名手」として活躍した。

 写真は、とある町芝居一座が宣伝で下町を歩いた「町廻(まわ)り」のスナップ。役者の後ろで鳴り物が一座の到来を知らせている。にぎやかな雰囲気に誘われたのか、近所の子どもたちが集まり、町廻りを一層盛り上げている。

 木村はよくカメラを持って、浅草や佃などの下町を散策した。気に入った被写体を見つけると、人と背景の関係を即座に計算、狙った場所に来たタイミングで2、3枚シャッターを切った。撮り損ねたからと、追いかけてもう一度撮ることはしなかったという。「居合」ともいわれた撮影術は、瞬間の雰囲気を見事に切り取っており、木村の実力をうかがわせる。

写真展の詳細はこちら
生誕120年 木村伊兵衛回顧展

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