社説:[2021衆院選]地方再生 潜在力引き出す政策を

 本県をはじめ地方の人口減少に歯止めがかからない。今回の衆院選で地方再生が各党の重要課題と位置付けられることは少なく、議論が盛り上がっているとは言い難い。しかし地方の再生なくしては未来の安心な暮らしは描けない。息の長い骨太な取り組みが求められる。

 「地方創生」は2014年に打ち出された安倍政権の看板政策。その後は次々と看板が掛け替えられ、めぼしい成果を上げることなく現在に至っている。

 当時は急速に進む人口減少の克服が叫ばれ、一極集中是正が喫緊の課題とされた。東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)への転入者と転出者を20年までに均衡させる目標も掲げられた。実際には20年は約9万9千人の転入超過という結果だった。

 目標に程遠いとはいえ、前年からは5万人近い減少だった。これは新型コロナウイルス感染拡大の影響。東京都の人口は20年7月から8カ月連続で転出超過した。

 コロナ禍のためテレワークを取り入れる企業が増え、勤務地に縛られない働き方が広がってきた。こうした変化を受け、岸田政権は地方再生策としてデジタル化推進を訴える。具体策としてテレワーク拠点整備などを挙げている。しかしこの動きが今後も継続していくかどうかは不透明だ。

 与野党を問わず、最低賃金引き上げを公約に掲げる政党が目立つ。地域間の賃金格差是正という観点から注目される。現行は東京が時給千円を超え、全国平均額は930円。本県は822円でその差は大きい。企業の負担増が避けられないため引き上げは容易ではないという。

 地方の経済人からは「東京追い出し税」の主張も聞かれる。東京に本社を置く企業に対し、従業員1人につき一定額の税金を課せば、企業の地方移転を促せるという考えだ。

 東京一極集中の是正にはこれぐらい大胆な政策が必要ではないか。企業移転が進めば地方の雇用機会が増え、人口減少に一定の歯止めがかけられる。

 農林水産業など地方経済の基礎をなしてきた産業を活性化することも忘れてはならない。さらに観光や特産品など、その地方ならではの優れた素材を国内外に売り込む仕組みづくりも後押ししたい。地方経済を豊かにし、働く場をつくることにつながる効果が期待される。

 子育て世代の移住を促すためには医療や子育て環境の整備なども求められる。市町村が広域連携して生活基盤を維持していくことは地方住民の暮らしの安心にもつながる。

 地方再生はこの国が長期的に取り組んでいかなくてはならない課題だ。地方と都市の関係はこれからの国の形を考える上で重要な問題でもある。地方の潜在力を最大限に引き出すため、与野党は従来の枠にとらわれず、大胆かつ自由な発想で政策を競い合ってもらいたい。

お気に入りに登録
シェアする

衆院選の特集ページはこちら

秋田の最新ニュース