社説:不登校最多19万人 多様な学びの場、提供を

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 新型コロナウイルスの感染拡大が、子供たちの生活にいかに大きな影を落としていたことか。全国の国公私立小中学校で不登校の児童生徒は昨年度、約19万6千人と前年度より約1万5千人増え、過去最多となった。

 感染拡大による学校や家庭の生活環境の変化が行動にも影響を与えた―というのが、調査した文部科学省の見方だ。これほど多くの子供たちが、不登校となっていたことに心を痛めずにはいられない。

 登校したくてもできないなど30日以上欠席した場合を文科省は「不登校」と判断。調査では90日以上の欠席が半数を超すなど長期化の実態も判明した。

 不登校の要因では本人の「無気力、不安」が最も多く、5割近くを占めた。学校現場からも、漠然とした理由での不登校が増えているとの声が出ている。

 東北のある中学生の事例では、いじめなどのトラブルはなく、学業や友人関係にも目立った問題はなかったが、休校明けに不登校気味になった。この生徒は理由について「何となく不安」と語ったという。

 昨年度の感染拡大で、学校生活に大きな影響があったのは事実だ。楽しみにしていた行事が中止となり、友達とにぎやかに雑談していた給食の時間も黙って食べるなど、さまざまな我慢を強いられるようになった。

 学校は「楽しい場所」ではないと感じ、接触が減って孤立感を深めたとの指摘もある。それが不登校の一因なのではないか。

 不登校経験者への文科省の別の調査では、休むことについて「誰にも相談しなかった」が約4割に上った。友達や先生、家族からの声掛けがあれば「休まなかった」との回答もあった。

 問題は、子供が相談しやすい環境や体制をどう整えるか。その一つとして大切なのが保護者ら周囲の大人の対応だ。

 不登校問題に長年取り組むNPO法人の関係者は、時にはサボることも「心の休養」とし「学校に行けなくても、その先の人生はある」と強調。大人は子供の気持ちに寄り添い、「言葉に出して心配していることを伝える」ことが重要だと訴える。

 不登校の子供たちには、学校以外での多様な学びの場や機会を提供することも欠かせない。想定されるのは、フリースクールや校長の判断で出席扱いにできるオンライン学習などだ。

 ただしインターネット環境を整えるのが難しい家庭にも配慮することが必要だ。教育委員会と学校は個々の状況をきめ細かく把握し、教育格差が生じないよう手を差し伸べてほしい。

 阪神大震災や東日本大震災で子供のストレスは2、3年後に噴出したと専門家は指摘。今後、不登校がさらに増える可能性があると警鐘を鳴らす。

 コロナの影響が社会的弱者である子供たちに及んでいるのは確かだ。学校現場や保護者、自治体など社会全体で不登校問題に向き合わなければならない。

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