社説:首都圏震度5強 教訓をくみ、備え点検を

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 最大震度5強を観測した地震は首都圏に大きな混乱をもたらした。千葉県北西部を震源として7日深夜に発生。多くの帰宅困難者や翌朝の出勤困難者を出す事態となった。首都圏に限らず、大規模地震への備えを改めて点検することが求められる。

 地震の規模はマグニチュード(M)5・9と推定される。発生翌日時点で茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川の5都県の負傷者は40人を超えた。東京23区で同規模の揺れが観測されたのは東日本大震災以来10年ぶり。

 特徴的だったのが首都圏の多くの鉄道が一時運休したことによる混乱。帰宅困難者が駅周辺にとどまり、タクシーを待つ人々の長い列ができた。さらに水道管の破損が各地で発生。都市機能の脆弱(ぜいじゃく)さを露呈した。

 帰宅困難などは人口密集地に特有の問題ともいえる。防災対策として一極集中の是正、テレワークの拡大などに目を向け、一層推進すべきではないか。

 30年以内に70%程度の確率で首都直下地震が起こるとされる。M7・3の地震が発生した場合、最悪2万3千人が死亡、全壊・焼失建物数は61万棟、経済的被害は約95兆円に上るというのが政府の被害想定だ。

 首都直下地震の想定規模は今回の数十倍。建物の耐震化、火災対策が進められているとはいえ、どの程度まで被害を食い止められるのか。今回の地震でも大きな混乱があったことを重く受け止めなくてはならない。

 9月の「防災の日」、政府は首都直下地震を想定して総合防災訓練を実施した。多くの訓練では明るい時間帯の発生が想定される。それで現実の災害に対応できるかどうかは疑問だ。

 大規模災害への備えは昼夜はもちろん、雨や雪が降った時、猛暑や極寒の中などさまざまな想定の下で行う必要がある。今回の地震では一部の駅で非常時用の水や食品を配ったという。臨機応変な対応には日頃の訓練が重要だ。

 本県では東日本大震災以降、積雪時の地震を想定した訓練が行われるようになった。夜間や未明の発生を想定したケースもある。過酷とも思える想定の訓練こそ、いざという際に役立つに違いない。

 首都圏で地震のあった7日、内閣府の専門家委員会は日本海溝・千島海溝沿いでM7以上の地震が発生した場合に、より大きな後発地震への備えを住民に注意喚起するのが適切とする報告書案をまとめた。東日本大震災の2日前にM7級の地震が発生したことなどを踏まえた。

 今年起きた震度5強以上の地震は今回を含め5回。4回は東北の太平洋側で起きている。東日本大震災から10年たってなお、余震とみられる地震が起きていることに驚かされる。

 行政レベル、個人レベルで、なお不足している備えがないか。首都圏での地震は遠くの災害ではない。そこからくむべき教訓はたくさんある。

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