北斗星(10月6日付)

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 近江商人の心得「三方よし」は商売の模範とされる。「売り手よし、買い手よし、世間よし」。売る側の利益、買う方の満足に加えて、商売が世のためになっているかを重視した言葉だ

▼県議会に例えると「三方」は県議、県当局、有権者となるだろうか。県議が知事や県幹部らに直接、県政課題をただす9月県議会の「総括審査」が1日で終わった。従来は2日開かれてきたが、「新型コロナウイルス対策以外に大きな課題がない」と自民会派議員が短縮を提案。反発を押し切り1日だけの開催が決まった

▼県議の拘束時間は減り、県当局も答弁準備の作業が減る。同じ質問が繰り返される例もある。審議の効率化と言えば聞こえはいい。だが有権者にとっては知事らの考え方を聞く機会や時間が減るのだから、「三方よし」とは言い難い

▼総括審査は、用意した原稿を議員と県側が読み上げる一般質問とは違う。アドリブの受け答えも多く、そこから知事の本心を引き出せることもある

▼議会がどうあるべきかはいつの時代も模索されてきたようだ。県立図書館には昭和の初め、雄弁で知られる国内の国会議員や作家が演説の要諦をまとめた「雄弁学講座」が残っている。その巻頭言が興味深い。「議会を繁栄させる道は演壇を繁栄させること」とある

▼総括審査では演壇に代わり、知事と同じ目線で向き合う真剣勝負の質疑者席がある。質疑で議会を活気づける場でもある。短縮の是非は住民目線でも論じてほしい。

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