岸田新総裁、昨年川反で… 本紙記者に「おいしく飲みました」

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中泉氏と面会するため郷土料理店に入る岸田氏

 自民党新総裁に選ばれた岸田文雄氏(64)は昨年7月に来県し、岸田派に所属していた中泉松司前参院議員(42)と面会した。会場となったのは、秋田市の繁華街・川反の郷土料理店。2019年の参院選で落選した中泉氏の今後を巡り、突っ込んだやりとりが交わされるのでは―。そう予想した本紙取材班は、店を出た岸田氏を突撃取材した。

 7月3日午後9時半ごろ。初夏の生暖かい空気が漂う中、中泉氏との面会を終えた岸田氏が郷土料理店の玄関から姿を現した。やや顔を赤らめ上機嫌な様子。本紙記者2人はすかさず取材を敢行した。

郷土料理店を出た直後、記者の質問に応じる岸田氏(中央)。左隣が中泉氏=2020年7月3日午後9時27分、秋田市大町

  ―何の話をされたんですか?

  岸田 何の話って。いやいやいや。同じ仲間として、はい。えーと、懇親をしました。

  ―懇親を?

  岸田 ぜひこれからも頑張ってもらいたいという、激励をしました。

  SP風の男性 よろしいですか、はい。

  ―中泉さんの今後の政治活動について、お話されたということでしょうか。

  岸田 うん?いやいや、これから頑張って、ええ。まだ若いから頑張ってって。

  SP風の男性 はいはい、いいですか。


 岸田氏は当時、党政調会長。この日の面会には、一緒に来県した国会議員数人も同席した。政界きっての酒豪とされ、ロシアの外相と飲み比べたことがあるとの逸話を持つ岸田氏。1軒では飲み足りないのか、一行はその後、同じ通り沿いのクラブやラウンジが入るビルへ向かった。

一行は取材班を尻目に、2軒目の飲食店ビルへ入っていった

 「お忍び」で来県した岸田氏への接触に成功し、派閥の仲間による中泉氏の激励目的ということは分かった。しかし、果たしてそれで記事が成立するのか…。焦りを覚えた記者2人は、もう少し粘り、2次会終わりに再度取材を試みることにした。

 一行が再び通りに姿を現したのは、入店から約1時間後だった。

  ―度々すみません。お疲れさまでした。

  岸田 はい。

  ―せっかく川反でお会いしたので、もう一言…。

  岸田 いやいや。中泉さんを応援に来ました。それだけです。

  ―お忙しい中でこうして来られたのは、中泉さんへの思いがそれだけあるんだろうと。

  岸田 それは、われわれは仲間だから。大事にしなきゃ。それだけです。

  ―どんな激励の言葉を掛けられたんですか。

  岸田 え、いやいや。元気出してください。それだけです。


懐に手を入れ、夜の街をさっそうと歩く岸田氏(左)

 どうやら踏み込んだ発言を引き出すのは難しそうだ。煙たそうにするSP風の男性の鋭い視線を感じながら、記者は趣向を変え、最後にもう一問尋ねた。

  ―秋田のラウンジ(2次会の店)はいかがでしたか?

  岸田 え?えーっと、おいしく飲みました。ありがとうございました。


 「中身の有無は別として、質問には正面から向き合う政治家」。川反でのやりとりを通じ、記者は岸田氏にそんな感想を持った。

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