教育2021:県内通学路の安全は… 千葉・児童5人死傷事故から1週間

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 下校途中の児童の列にトラックが突っ込み5人が死傷した千葉県八街(やちまた)市の事故は、通学路の安全確保の難しさを改めて突き付けた。危険性が指摘される通学路は秋田県内でも各地にあり、子どもたちをどう守るか自治体や学校現場の模索が続いている。

交差点を横断する中学生を見守る住民。地域の目が通学路の安全を支えている=秋田市土崎港



 先月28日に起きた八街市の事故現場は、幅約7メートルの直線道路。見通しがいい一方、歩道やガードレールはなかった。

 被害児童が通う小学校のPTAは2009年以降、ガードレールの設置を2度にわたり市に要望していた。だが、歩道やガードレールの整備には道路拡幅のための用地買収が必要で時間がかかるとして、対策は取られていなかった。

 12年に京都府亀岡市などで登下校中の児童が巻き込まれる交通事故が相次いだことをきっかけに、全国では通学路の安全確保の取り組みが進められてきた。

 事故後に全国の自治体が行った緊急点検結果について、17年度末時点で国は、その後の対応状況を調査。対策が必要とされていた場所は全国7万4483カ所で、うち7万2238カ所が「対策済み」とされた。全国の危険箇所のうち97%は安全対策が取られたことになる。

 しかし、八街市教育委員会によると、今回の事故現場はそもそも、対策が必要とされる場所にカウントしていなかった。

 PTAなどからの要望により現場の危険性は把握していたが、同じ学区内でより危険性の高い場所が他にも複数あったため「学校近くの交差点には信号機の要望も多く出ており、ガードレールと同時に整備するのは難しい中で優先順位を付けた」という。

 市教委学校教育課の担当者は「住民の意識とずれがあったという認識はないが、結果として整備が遅れ、住民の思いがかなっていないと言われればその通りだ」と話す。事故後、政府は歩道設置に全面協力する考えを地元に伝えた。

 八街市の例は、危険箇所の大半は対策済みだとする国の調査結果が、現場の実態を必ずしも反映していない状況を浮かび上がらせる。

 同じ調査で秋田県内は、対策が必要な560カ所に対し、「対策済み」は556カ所。全国調査と同様に多くは対策済みということになるが、実際には、抜本的な対策を求められながらも対応が難しく、整備が行き届かない場所もあるとみられる。

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