北斗星(6月6日付)

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 1970年代の中学校で隣のクラスの教室には所々に水道の蛇口があった。理科室を普通教室に転用していたのだ。1学年の生徒が約550人。全校生徒数は1500人を超えていた

▼「秋田県教育史」(県教育委員会、86年発行)によると61~65年度の県内の中学校生徒数は毎年10万人を超えていた。前回の東京五輪があった時代。秋田市内に生徒2千人超の学校が複数あり、全県的に千人を超える学校は珍しくなかった

▼この時代の生徒が生まれた47年、本県出生数は約4万8千人とピークに達した。一昨日に発表の人口動態統計で2020年の出生数は前年比197人減の4499人。ピークの10分の1以下だ。在学時の母校3校分にすぎない

▼一方、全国の出生数は前年比2万4千人減の84万人。1899年の統計開始以来で最少だ。加えて婚姻数も大きく減少。コロナ禍による雇用情勢悪化もあり、結婚に慎重にならざるを得ないケースも少なくなかっただろう。今後の出生数をさらに引き下げる懸念もある

▼先月、国が明らかにした昨年受理の妊娠届の件数も著しく減少している。こちらもコロナ禍の影響が濃厚とみられる。少子化は加速する一方だ

▼国は来春からの不妊治療の公的保険適用拡大を目指すほか、こども庁新設で子育て支援充実を図る考え。厳しい現実を前にすれば「もっと早く」とせかしたくもなる。本県出生数は全国を上回るペースの減少。どこよりも手厚い支援策を打ち出せないものか。

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